2016.12.21

開業後に必要な患者数は1日何人?

Single word from simple block letters spelling out the word clinic

クリニックを開業するにあたって、1日にどれくらいの患者数を診ればよいのか?
その患者数がクリニックの経営だけでなく、年収や将来に向けた貯蓄額に影響するため、開業医の先生方にとっては重要なトピックとなります。
ここでは、目安となる1日の患者人数を根拠となる数字とともにわかりやすく説明します。

一般的なクリニックの平均患者数は何人?

一般的な診療所の1日の外来患者数は約44人です。

厚生労働省の「社会医療診療行為別調査」(平成23年)によれば、全国の診療所の月別外来患者数はのべ9,360万人、同様に厚生労働省が発表している「医療施設調査」において、全国の診療所数は約99,500件となります。

診療日数がクリニックによって週5ないし週6で行われているため、外来日数を21日から25日まで幅を持たせて換算すると、1クリニック当たりの外来患者数は940人/月となります。診療日数はおおよそ21.5日(半日は0.5日と計算)とすると、つまり、クリニックの平均患者数は約44人と考えることができます。

年収にするといくらになるのか?

1日に44人の患者数は、クリニックの採算における重要な数字です。 詳細は後程のべますが、平均的な内科クリニックの収支構造を考えれば、院外処方で平均単価5,800円の患者が44人来院し、平均診療日数が21.5日で売上が月額約550万円、年間で約6600万円となります。

また、平均的なクリニックの原価率は10%(院外処方)です。スタッフが看護師1名、医療事務が2名で、家賃が年間600万円、そのほかの費用合計が約4,000万円掛かるとして、年収にして約2,000万円に相当します。

ただし、この金額から税金と借入金を返済すると、勤務医以上の収入になるものの、将来のビジョンを持っている院長先生の収入としては十分ではないかもしれません。 リスクをとって開業した割には案外収入が少ない。やはりもう少し収入があったほうがいいですよね。

開業医の理想の患者数の考え方

患者数が平均より多いから良い、今のままを継続すればそれで満足である、といった考え方で理想の患者数を考えている方も少なくないでしょう。

しかしクリニックを経営する立場であり、また院長先生自身の人生を切り離すことはできません。収入のほとんどが経営するクリニックによって生み出されると同時に、支出は人生とクリニック両方から生まれるからです。

よって1日に必要な患者数は経費に加え、先生の私生活に必要な費用から逆算して考えることが必要です。 そしてこれからの人生の支出を逆算し、いつまでに、どれくらいの貯金が必要になるか、そのための所得がいくら必要かを考え、いまから準備しておくことも大切になるでしょう。

それでは年齢ごと必要になる支出を見ていきましょう。

年齢ごとにみる、開業医が想定すべき支出

まず私生活の支出です。

私生活での支出は30代~40代にかけて、まず家のローンがでてきます。

ついで40代に差し掛かるころから、後継者となる子息の学費が必要です。私立大学の医学部であれば仕送りも含め約5,000万円必要です。そのほかの子供の教育費も掛かってきます。

50代には家の買い替えやリフォーム費用、両親の介護費用などが大きな支出金額となります。 こうした大きな支出だけでなく、趣味、旅行、会員権などの取得など、年齢問わず継続的に支出が発生するものもあります。

引退後の老後資金についてもそれまでに貯蓄しておかなくてはなりません。
必要となる目安金額は以下の通りです。

65歳で引退し、90歳まで生活した場合(年金200万円×年数含む)
●月50万円(年収600万円-年金200万円):25年で1億円
●月75万円(年収900万円-年金200万円):25年で1億7,500万円
●月100万円(年収1200万円-年金200万円):25年で2億5,000万円

つぎにクリニックでの支出です。

開業から15年後には医療機器の買い替え、クリニック内外の修繕などが頻繁に発生します。加えて分院する場合にはその費用が掛かってくるでしょう。引退時には承継のための費用のほか、クリニックのリニューアル費用も見ておく必要があります。

患者数が5人増えれば年収は675万円増加する

たとえば患者数が1日40人、平均診療単価が5,800円で診療日数が21.5日の場合、 40×5,800×21.5=4,968,000円 これを12か月とすると59,856,000円が売上となります。

もし患者数が5人増えた場合、

45×5,800×21.5=5,611,500円 12か月で67,338,000円となります。

売上ベースで約750万円の増加です。

売上が増えた分、経費も比例して増すのではないか?

そうした疑問があるかと思われますが、「5人増える」ところがポイントです。

実際のところ、5人患者が増えただけでは、変動費、つまり診療材料費は売上の10%なので比例して増えても、そのほか家賃、水道光熱費、人件費、医療機器リース料や減価償却費などの固定費にはあまり影響がないのです。 では平均的なクリニックの費用項目を見てみましょう。


このように、5人患者数が増えただけで利益が約675万円増加します。

患者数が5人増えた場合、原価である診療材料費は増加するものの、家賃、水道光熱費、給与、医療機器や車の償却費はほぼ影響がありませんから、費用や人的負担を最小限にして、売上をアップさせることができます。

 

関連する当社サービス

>「開業の成功にもっとも重要なのは立地でも開業コンサルでも」開業医を志す医師のための勉強会

>「患者数を伸ばしたい」「今後のクリニック経営の方針を相談したい」経営支援

>「採用がうまくいかない」「理想の組織に近づきたい」スタッフ採用・教育支援

>「もっと節税したい」「医療に詳しい税理士に切り替えたい」税務会計支援

参考:勉強会セミナー

開業を成功させる一番のポイントは、事業主となる先生が経営者として成長することにあります。経営者としての考え方、視点、判断の方法を学ぶための勉強会です。

>クリニック開業基礎講座

>クリニック継承基礎講座

>スタッフ採用・育成基礎講座

>広告・集患基礎講座

>開業医の為の将来設計講座

まとめ

これから開業を考えている先生方の中には、「先輩の開業医が1日これくらい診ている」とか「自分の診療スタイル的に1日何人くらいがちょうどいい」といった判断基準で患者数を考えている方もいらっしゃるでしょう。しかし、これまで書いてきたとおり、それを軸にしてはいけません。

大切なのは、院長先生の将来設計から逆算して考えることです。目指すべき診療がある(そのため患者数の限界がある)、将来の分院を考えているため、なるべく貯蓄を増やしたい、といった観点から見れば、おのずと先生によって目指すべき患者数は変わってきます。

開業医は勤務医とは違い、年収の上限はありません。勤務医のように、年収の範囲内で人生設計を考えるのではなく、患者数が少し変わるだけで年収は大きく変わってくる。この性質を理解し、目標患者数を設定していただきたいと思います。

  • 2018年度開業基礎講座受付中!
  • 2018年度経営基礎講座受付中!