2016.12.23

必ずチェック!テナントとしてクリニックを開業する際の物件の注意点

物件選定

開業準備を進める上で、重要な物件選び。しかし、どれだけ良い立地が見つかったとしても物件によっては医院開業に向いていない場合があります。この記事では、物件を選ぶ際の注意事項やチェックポイント、また契約時の注意点をお伝えしたいと思います。

医師が賃貸物件を選ぶ際に持ちたい3つの視点

①同じビルに入居している業種をチェック

商業ビルのテナントは集患しやすいイメージがありますが、上下フロアや同じフロアにクリニックにとって望ましくない業種が入ると逆効果です。物件選びの際は入居している他のテナントを確認するようにしましょう。

契約時に特約事項として、クリニックと相容れない業種を入居させないことを賃貸借契約書に明記させるのが望ましいですが、無理であればフロア数の少ないビルを選ぶのがおすすめです。また、ワンフロアあたり1テナントしか入居できないビルも良いでしょう。

②看板に関する制限の有無

テナントの場合、広告や宣伝に制限が加えられることがあります。

条例で一定規模以上のビルを対象に袖看板やカッティングシートの広告を禁じる場合や、デザイナーズビルなど外観にこだわるオーナーが看板を禁じるケースも少なくありません。

これは、患者にとっての利便性や、視認性の点でマイナスとなります。 物件を借りる際は、必ず広告や宣伝に関する制限について確認しましょう。

③将来的に設備を拡大することができるか

開業時は資金の制約から、内装や医療機器などを最小限に止める場合があります。

しかし、経営が軌道に乗り設備を増設する場合、物件が手狭になることがあります。 物件を借りる際は将来を視野に入れ、大きめの物件を選び壁で仕切っておくと便利です。ただし、利用していない部分の賃料を払い続けるというデメリットもあります。

他に、マンションの一階部分の商業スペースのテナントになれば、将来院長室やスタッフスペースを上階に移動してスペースを拡げることが可能です。

契約の前に確認しよう!物件の必須チェックポイント

耐震構造やアスベストの有無

新築でない場合は、ビルの構造について1981年の建築基準法改正に伴う新耐震基準を満たしているかを確認します。法改正以前のものでも耐震補強工事が施されていれば問題はありません。 また、古い物件の場合にはアスベスト使用の有無も確認します。

医療機器の搬入経路

内装工事を円滑に行うために、医療機器の搬入経路が確保できるか、工事の際他のテナント区画に立ち入る必要が生じないかを確認します。

天井高、電気設備

医療機器を設置する関係上、天井高は2.4m以上の物件を選びましょう。

また、必要な電気量を確保するため、電気容量が足りない場合増やせるかを確認します。

天井内スペース、室外機置き場の位置

天井内スペースが狭い物件、天井内配管経路が少ない物件は、エアコンの設置が限定されます。 さらに、室外機の設置場所の指定が屋上の場合や、1台の室外機で複数のエアコンを制御するビルマルチエアコンしか設置できない場合も費用がかかるので注意が必要です。

給排水衛生設備

テナントビルは、トイレなど衛生設備の排水管の位置が決まっています。テナント区画内に衛生器具が設置できない場合、開業が難しいため注意が必要です。

また給排水設備の設置場所を基準に設計を行うと、動線が制限され使いにくいレイアウトになることがあります。 トイレの増設が難しいこともあるので、水回りの事情はよく確認しておきます。

消防設備

テナント物件ではビル自体に法律により定められた消防設備が必要です。そのため、各部屋に自動火災報知設備や避難口誘導灯を増設する必要があります。

大型の建物の場合、部屋ごとにスプリンクラーを設置する義務がありますが、クリニックにおいては手術室・分娩室・火災発生時にスプリンクラーが作動することで二次的な被害を生じるおそれがある場所は、スプリンクラーではなく補助散水栓等を設置するよう定められています。

B工事

大型建物の場合、一部の工事にビル指定の業者が決まっていることがあります。

これを「B工事業者」と呼び、消防設備工事や電気設備工事、空調換気設備などがB工事指定になることがあります。指定業者のため、金額交渉は困難です。

業者任せにしない!賃貸契約時の注意点

不動産の賃貸借契約では一般的にオーナーと借主の間に不動産業者が入ります。

契約の際は業者任せにせず、契約期間、賃料・共益費、敷金・権利金・保証金、引き渡し時期と賃料の発生時期を確認しましょう。

また、不動産の所有者と賃貸人が同一であるかを確認し、同一でない場合は不動産の所有者と賃貸人の契約内容を把握する必要があります。

契約期間

定期借家契約では契約期間が10年以下に設定されていることが多いので注意が必要です。

将来的に医療法人化を検討している場合、テナントのクリニックでは長期間賃貸借契約を継続する必要があります。 テナント契約が定期借家契約となっている場合には、契約期間が最低でも15年以上となるように交渉し、契約を取り交わすのがおすすめです。ただし、借主の都合で中途解約すると残存期間の賃料を全額支払う必要があることも覚えておきましょう。

引き渡し時期と賃料の発生時期

契約と引き渡し時期は、内装工事の着工前であれば問題ありませんが、出店希望者が多いエリアでは開業の数カ月前から契約が必要です。賃料は契約時から発生することがあります。

築年数が経過し、空き店舗のまま数年経っている物件は、保証金の減額や家賃交渉に応じてくれることがあります。また、内装工事期間中の賃料を免除してくれることもあるので、不動産業者に打診してみましょう。

禁止または制限される行為

借家では、増築や改造はオーナーの同意なしで行うことができません。 クリニックの内装は、医療法上の施設基準や医療機器の設置にかかる制約がありますので、どこまで改造できるかをあらかじめ確認しておきます。

明け渡し条件

賃貸借契約が終了した物件は、原状復帰して明け渡すことが原則です。

クリニックは原状復帰が困難な場合もあり、この点をどうするか契約時に取り決めておく必要があります。

まとめ

商業ビルで開業すると集患が楽なイメージがありますが、他のテナントの業種により、クリニック経営に支障がある場合も考えられます。
また、物件の立地や広さだけでなく、空調や水回りに関連する部分のチェックも必須です。専門的な視点も必要なため、内覧の際はクリニック設計に慣れている建築士の方に同行してもらうのがおすすめです。
テナントとして開業する場合は、より慎重に周囲の環境や物件の状態を見極めるようにしましょう。

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