2016.12.23

クリニック開業形態、失敗しないためのチェックポイントまとめ

開業形態

ひと昔前までは戸建て開業が多かったクリニックも、最近では都市部を中心にテナント開業が一般的になってきました。ほかにも、医療モールや継承開業など、クリニックの開業スタイルにはいくつかの選択肢があります。それぞれどのような特徴があり、何を基準に選んだらよいのでしょうか?今回は、各開業形態の特徴と選ぶ際のポイントをまとめてご説明します。

どんな形態がある?開業形態別のメリットと注意ポイントを解説

戸建て、テナント、モール、継承開業・・・。それぞれには、クリニック開業におけるメリットと、注意すべきポイントがあります。

メリットに目が行きがちですが、一歩間違えると理想のクリニックの実現に大きな支障となるのが開業形態。それぞれの形態について、注意すべきポイントをしっかり踏まえておきましょう。

開業形態別の特徴と注意ポイント

形態 どのような形態か 特徴と気をつけるべきポイント
テナント 複数の業種が入居するビル・マンションなどの一区画を賃借する開業形態。

戸建てに比べ初期費用が少なく、人通りが多い駅前などに立地することが多いため広いエリアから集患できるのがメリット。

【ここに注意!】

・ビルが事務所仕様の場合、建築基準法に基づいて診療所として用途変更が必要になり、初期費用が増える場合がある。

・ビルの管理規約上、看板などの掲出方法に制約があるケースが多い。また、診療時間(土日や夜間など)や職員が出入りできる時間を制約されることがある。
・地域への密着度が低い。
・賃料変動リスクがある。
・診療所を担保にできないため、開業資金を借入しにくい。
・内装などレイアウトの自由度が低い。
・駐車場の確保が難しい。

医療モール 複数の診療科目が入居するビルの1フロアを賃借して開業する形態

高齢者など受診科目が複数ある患者様には利便性が高い。複数の医療機関が集まることで知名度も高まり、各診療科間で患者を紹介しあうなどグループ診療を実現できる。駅周辺や住宅街の中心などアクセスが良い場所にあることが多く、また、共同駐車場を利用できる点も長所。
【ここに注意!】
・患者の取り合いが発生しやすい。例えば、小児科と皮膚科という診療科の場合、風邪で小児科を受診した子供に皮膚疾患があり、風邪薬とともに皮膚科領域の軟膏を処方するといったケースでは、仮にその子どもが皮膚科に通院していた場合、患者を奪うことになる。

・ほかのテナントが入らない場合、思うような相乗効果が得られない。

戸建て 戸建てを購入して開業する形態

最初から設計できるため外装・内装にこだわることができるほか、駐車場なども確保しやすい。住宅街に開業すれば、地域に根ざした医院としての存在感を印象づけることができ、在宅医療にも取り組みやすい。
【ここに注意!】
・初期投資額が大きくなる。

戸建て(サブリース) オーナーが所有する土地に戸建てを建築した上で、土地・建物をまとめて賃借する

戸建て購入と同様に、外装・内装の設計における自由度が高く、地域に根ざした医院の実現も可能。在宅医療に取り組みやすい。
【ここに注意!】

・貸借期間後の再契約が可能とは限らず、長期的な視野での計画が必要。

継承 すでに開業している医院を第三者として譲り受けて開業する形態 開業準備が短く初期コストが大きく抑えられる上、既存の患者やスタッフを引き継ぐことができる。開業後の業績を実績値から予測しやすく、経営リスクを軽減できる。
【ここに注意!】
法務上・財務上のリスクも継承するため、事前の調査が重要。経営理念や営業方針の違いにより既存の患者が離れてしまうことも考えられる。

上の表のように、それぞれにメリット・デメリットがあり、特にデメリット(注意ポイント)については、具体的にどのような問題があるのかを、個々のケースでしっかりと調査することが重要になってきます。

失敗しないためには!?目指す医療との相性で考える

開業形態を選ぶうえで重要なことは、「ご自身が目指したい医院の姿、診療方針や専門性、強みなどとの相性が合うかどうか?」ということです。

たとえば、スポーツ整形外科やアレルギー専門、乳腺外科や肝臓内科などのように専門特化しているクリニックの場合は、そもそも地域あたりの対象患者数も少なく、診療圏を広く設定する必要があります。その場合、開業場所は駅に近いビルテナントが向いているでしょう。

皮膚科や精神科など広いスペースを必要としない場合も、ビルテナント開業のメリットが生かされやすくなります。とはいえ、広告についてはビルの管理規約に制限されることが多いため、よほどのことがなければ高階層物件は避けるべきです。高齢の患者様が来院することが多い診療科を開業する場合も、高階層はなおさら不利になります。

一方、在宅医療に取り組みたいのであれば戸建て開業が向いています。診療所と住居が一体になっている場合は、先生が住んでいるということが患者にとって大きな安心材料となるからです。

また、上の表にはありませんが、戸建て開業の場合は、診療所が担保となるため開業資金が借入しやすく、返済に苦労したとしてもゆくゆくは資産となることも長所でしょう。在宅医療や地域への密着度を重視されるならば、地価の低い郊外・地方で戸建て開業するといった方法が考えられます。

付け加えて、医療モールの場合は、表に掲げたように「患者の重複」や「相乗効果が得られない」というケースのほか、内装業者など各種業者が指定されていたり、モール全体の運営コンセプトや、他入居医院の悪いイメージの影響を受けたりというように、自院の経営方針を貫くことが難しいことが多々あります。モール運営会社の方針や取り組み、支援の方法が、先生自身が実現したい医療の形に合うかどうか。運営会社が出す予想患者数や収益シミュレーションの根拠が適切で、かつ、その患者数で、ご自身が実現したい医療や人生のライフプランが実現できるのかどうか、十分な吟味が必要です。

まとめ

開業の際には、費用面などから形態を選んでしまいがち。ですが、各形態の特徴を知り、実現したいクリニックの姿、提供できる医療の強みなどとの相性を、しっかり見極めた上で選ぶことが大切です。
どこに、どのような形で開業するのかは、その後の経営を左右する重要な判断。ご自身の理想をしっかりと描いて、後悔しない開業スタイルを選びたいものです。

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