2016.12.22

クリニックの採用活動を成功に導く、採用基準のつくり方

採用基準

クリニックの運営に欠かせないのが、患者の応対や院長をサポートするスタッフです。
スタッフの確保には採用活動が必要です。良い人材を確保するためにはそれなりの準備とお金が必要ですが、初めてのことで勝手がわからず「とりあえず求人を出そう」とお考えになる方も多いかと思います。

この場合、採用活動は失敗する可能性が大きいです。なぜなのでしょうか。
今回は採用活動を成功に導くために必要な準備についてご紹介します。

採用前にすべきことは”採用基準”の作成

採用基準とは簡単に言うと、どんな人なら採用し、どんな人なら不採用とするかの基準です。

この基準があいまいな場合、採用後に能力不足が発覚する、あるいは面接では発見できなかった性格的な問題があるなどして、採用を後悔するようなケースもあり得ます。

それゆえ、採用前に採用基準を作成しておく必要があるのです。

採用基準は診療理念から考える

採用基準を作成する際には、院長先生自身が進めようとしている診療理念から考えると良いでしょう。 これは一般企業における企業理念と同じです。

どんな会社なのか、なんのために会社が存在し、どんな使命を持って企業活動を行うのか、と言った類のものです。

クリニックに置き換えると、どんなクリニックで、どのような診療を行い、診療を通じて地域社会にどのような貢献を行っていくか。これらをまとめたものが診療理念になっていきます。

診療理念さえ作ってしまえば、採用基準はそれをベースに決めていけばスムーズです。
診療理念を実現するために、どのようなスタッフが必要か逆算して考えましょう。

診療理念の考え方

人材を採用する際に、診療理念を分かりやすく伝えること。そうすることでその理念に共感した人、院長と同じビジョンや夢を持っている応募者が集まりやすくなります。

診療理念が明確に打ち出されていれば、応募者はほかのクリニックと差別化しやすく、たとえ報酬の面で劣っていても働きがいで選ぶ人は結構多いものです。

診療理念がなければ、スタッフは働いているうちに様々な疑問を持ち始めます。 「何のためにこのクリニックで働いているのか」という存在意義や「何をすれば評価されるのか」といった価値観、「クリニックや自分の将来像が描けない」といった夢や目標について、いろいろと悩んでしまいます。

診療理念という軸があれば、スタッフは院長が指示をしなくても自発的に、前向きに働いてくれるはずです。

クリニック経営のために利益の追求はもちろん大事ですが、利益だけを追求しよう、そのために余計なことはせず、すべて効率化しよう、といった考えでは、スタッフはだれもついてきてくれません。

採用基準の作り方

それでは採用基準の作り方についてご紹介します。

まずは2点、明確にしましょう。

一つは、先生が一緒に働きたい人について、もう一つは一緒に働きたくない人について、それぞれ条件を挙げていきます。

先生が一緒に働きたい人はどんな人か?

おそらくだいたいの人はこのような条件を挙げます。

  • コミュニケーション能力が高い
  • 協調性がある
  • 患者様にもスタッフにも気配りができる
  • 責任感がある
  • 向上心(向学心)が高い
  • 勉強好き
  • 経験者(即戦略)である

これらすべての条件が揃っている人材はまずいません。

3つか4つ揃っていれば良い方です。 こういった条件でふるいにかけていては、いつまでたっても本当に求める人材を把握することができません。もちろん良い人材を採用できないでしょう。 重要なのは、院長と価値観が合うか否かです。

選考基準にスキルや医療経験を問う必要はありません。

診療理念に院長の価値観が反映されていれば、その理念に共感した人が応募してくる=価値観が合う可能性が高くなります。 たとえそうではなくても採用試験や面接などで診療理念を一貫して伝えればよいのです。価値観の合わない人は自然とふるいに掛けられていくでしょう。

そもそも経験者には、仕事ができる経験者と仕事ができない経験者、2種類います。

仕事ができる人経験者はほとんどの場合、転職市場にでてきません。 そのため、経験者にこだわらず仕事ができる、もしくは価値観が合う未経験者も積極的に採用基準に入れるべきなのです。

一番採用してはいけないのは「仕事ができない経験者」です。なまじ経験があるだけに、自分のやり方や考え方ができてしまっており、院長の方針に馴染みにくく、また他のスタッフが働く現場に、クリニックの方針ではない誤った考え方、文化を作ってしまう可能性もあります。そういった意味で、「仕事ができない経験者」は組織にとってかえって害悪になることが多いのです。

開業時には即戦力を求めたくなるものですが、こういった理由から選別のリスクが大きくなります。

一緒に働きたくない人も考える

採用したい人物の理想像には際限がありません。 そこで、絶対に一緒に働きたくない人はどんな人かを考えます。

たとえばウソをつく人、素直ではない人、言い訳が多い人、挨拶ができない人、人の目を見て話せない人、他責にする人、保守的な人など、求めない人物像を明確にすれば、採用基準は変わってきます。

つまり忌避すべき条件に該当しなければ、その人物は「採用してもよい」わけです。そこから採用における必須条件に照らし合わせて総合的に評価をしていきましょう。

求めない人物像が明確になればなるほど、採用の精度がアップし、失敗は減っていきます。 採用したい人、採用したくない人を列挙し、ご自身のクリニックに合う人物像を描いていきます。

採用基準の具体例

それでは最後に、クリニックの採用基準を明確にしていきましょう。まず原則をあげるとすれば以下の2つです。

  • 医療機関からの中途採用に即戦力は求めない
  • 医療経験者にこだわらない

その上で、どんな業種でも大切なのが人柄です。 人間力と言い換えても良いでしょう。人間力があれば技術や経験が劣っていても謙虚に学ぶことができます。教えれば身に付きますし、自ら学んで新しい技術を習得する労苦をいとわないでしょう。

  • 人柄が良い
  • 人間力に優れている

そして先ほどからのべている、診察理念に共感した人です。つまり、

  • 価値観が合う

具体的には、たとえば院長が今までにないサービスや快適さのあるクリニックにしたいと考えていた場合、失敗を恐れず積極的に意見を出し、チャレンジしていける人材が合いますが、反対に今まで通りのやり方で、何も変えようとせず、指示に従っているだけの人は価値観が合いません。

医療従事者として常に向上心を持ち、常に新しい知識を学ぼうとする意欲的な人と働きたいのであれば、エネルギーのある人材を採用しなくてはなりません。

そういった人材を採用するために、「月一回の勉強会を実施」「外部セミナー費用を一部助成」など求人内容に記載してもよいでしょう。 このように価値観の合った人材を採用しなければ、院長が目指すクリニック像と逆行したエネルギーを持つ人々を院長自身が進めたい方向に導いていかなければならず、マネジメントに割くべき時間は増大してしまうのです。

と、5つほどあげましたがこうした基準を作っても、人物を見極める力のある人が面接を行わないと失敗する可能性もあります。 最初からすべて成功するわけではありませんから、まずはここからスタートして、失敗を糧に学んでいくのがよいでしょう。

まとめ

採用は縁ですが、その縁は黙っていればやってくるものではありません。縁は自分で作るものです。なるべくなら手間をかけずに良いスタッフを迎え入れたいものですが、そう簡単にはいきません。下準備は時間がなくてできない、とは思わずに、ぜひじっくりと足場を固めてから採用活動を進められてはいかがでしょうか。

  • 2018年度開業基礎講座受付中!
  • 2018年度経営基礎講座受付中!