2017.02.14

間違ってるかも?開業立地選びで失敗しないための注意点

集患のカギとなる要素の中でも、立地は大部分を占めています。

開業時の立地についてしっかり検討しなければいけない理由は「やり直しがきかないから」に他なりません。

立地を選定する際には、人口分布や受療率から割り出す診療圏調査と、実際に足を運んで地域の様子をつかむ現地調査で、それぞれ得られる情報が違います。時間と労力がかかりますが、両方を踏まえて開業場所を選定することが失敗しないための大前提です。

開業後の患者数を大きく左右する“開業立地”選び

開業を成功させる大きな要因の1つに、クリニックの立地があります。

例えば、自宅にする土地を探すのであれば、自分が住みたい地域や、子供を通わせたい学区、利便性などを考えて選ぶでしょう。

しかし、開業場所を選定する場合には、開業後の経営の安定や、集患を第一に考える必要があります。ですから、周辺の競合クリニックの状況や、先生の診療科目の特性、人口動線や周辺環境を考慮に入れながら開業場所を探します。

開業場所の選定において一番大切なことは、現地に足を運び、地域住民の目線で立地を確認することです。例えば、半径1km圏内の人口が多く、競合クリニックの少ない魅力的な地域でも、候補地のすぐ隣に大きな川や道路、線路などがあれば、それを超えて通院する患者様は少なくなりますから、診療圏が分断され、意外と集患が見込めない場合もあるのです。

診療圏調査とは?

診療圏調査とは、診療圏内における人口動態や人口分布に、受療率を掛け合わせて見込み患者数を算出し、開業場所として適切かどうかを判断するための調査のことです。

診療圏内における人口動態や人口分布は、国勢調査を元に、受療率は厚生労働省による患者調査を元に算出します。診療圏の設定は、開業を予定する立地によって異なります。都心部での開業であれば、半経500m~1km、郊外での開業なら、半経3kmが目安です。

間違った立地の選び方

<間違い①>診療圏調査を行わずに、立地の好みで開業する

開業場所を探す際、絶対やってはいけないのは、診療圏調査を行わず、自分の住みたい地域や、子どもを通わせたい学区、生活の利便性が良い地域などを優先条件として選ぶことです。

上記のような理由を優先させ、診療圏調査を行わずに開業をすると、思うように集患ができず、開業後にHPや看板など広告宣伝費をかけたところで効果もあまり見込めないという状況に陥ってしまう可能性が高いです。開業場所を検討するときには診療圏調査を行い、適切な開業場所かどうかを見極めましょう。

診療圏調査では、以下のようなポイントをチェックし、開業に適した土地かどうか見極めます。

●人口密度

【情報入手の手段】国勢調査、現地調査など

一般的には、人口が密集していれば、それだけ医療機関などの数も多くなります。特に都市部では、昼間・夜間、平日・休日で人口が大きく変動することが多く、クリニックの患者様のターゲットを絞るために重要な情報が読み取れることがあります。

例えば、30~50代のビジネスパーソンをターゲットとしてオフィス街の近くで開業する場合。このような地域の土日の人口は極端に少なくなりますので、平日をメインに診療するのが良いでしょう。さらに、9:00~18:00のビジネスアワーの来院は少ないため、昼休みや会社帰りに立ち寄れる時間帯に診療を行い、昼間人口にアプローチすることが大切です。


●競合クリニックの状況

【情報入手の手段】取引業者、現場調査、ホームページなど

人口の多い地域でも、同じ診療科目のクリニックが多数集まっていれば集患は難しくなります。同じエリアに、同じ診療科目のクリニックがどれだけあるか調べるには、インターネット上の病院検索サイトが便利です。

近隣にあるクリニックが、どれだけの患者数を集め、どんな専門性を持っているか、どんな強みをアピールして集患しているかも重要な情報です。これについては、実際に現場に足を運んだり、取引業者などから話を聞いたりして情報を収集し、開業するクリニックの差別化を図りましょう。


●人の流れ、地域の特性

【情報入手の手段】地図、現地調査など

診療圏調査では、データに出てこない人の流れからも、重要な情報が拾えることがあります。実際に地図をもって現地に足を運ぶと、街の中心地や大規模な複合施設など、人が集まるところには人の流れができているのが分かります。また、大通りから離れた住宅地の中などは、ほぼそこに住む住民しか通らず、人の流れはありません。他にも、駅前に複合施設が多く人通りが多い地域や、逆に駅前は閑散としていて、駅から離れた国道沿いに店舗が立ち並びにぎわっている地域など、様々な特色があります。

人口が多く競合クリニックが少ないエリアでも、人の流れがない場所や、人の流れから反対の立地を選ぶと、診療圏が狭くなってしまうかもしれません。


●診療科目

【情報入手の手段】取引業者、不動産会社、口コミサイトなど

診療科目によっても、診療圏調査の見方が変わってくる場合があります。例えば、小児科や耳鼻咽喉科の患者層は、内科に比べて若い世代が多く、子どもを連れてクリニックに来る場合も考えられるため、交通の便が重視されます。親が子供を連れて病院に行く時に、車を選ぶかどうかは、地域によってかなり差があります。

また、若い世代は口コミやインターネットから得た情報に対して非常に敏感で、評判が良ければ車や電車を使い遠くから来院する可能性もあります。いろいろな情報を総合して、駅前の複合施設内に開業するか、郊外で駐車スペースを設けた戸建て開業をするかなどの開業形態を選択します。地元の不動産会社などから、地域の医療ニーズを聞いてみてもよいでしょう。


<間違い②>対象となる患者層を意識しない

診療圏分析を行う際には、対象となる患者層にも注意が必要です。対象となる患者層が絞れていない場合は、開業場所を選定することができないと言っても過言ではありません。

「ターゲットを定めず、いろいろな患者様に来院してほしい」とおっしゃる先生のお気持ちも分かりますが、そもそも診療科目の時点である程度患者様の傾向は絞られてきます。

例えば、内科や整形外科の場合は、慢性疾患の中年から高齢者がおもな患者様となります。通院頻度が多く、クリニックの専門性をさほど求めていない場合が多いため、徒歩や自転車で通える近さのクリニックを選ぶ傾向にあります。このような場合、例えば駅前の複合施設内にクリニックを開業しても、患者様に通いやすいクリニックとはならない可能性が高いです。

逆に小児科や耳鼻咽喉科の場合は、子どもや若者などの患者様も多く、新規の患者の割合が高くなります。学校や職場に通う人が必ず通る駅や、子育て世代なら小学校や幼稚園など、患者様の生活圏内に開業することが効果を生むと考えられます。しかし、数年単位で長期的に通院する患者様は少ないので、人通りの少ない場所で開業してしまうと、将来的に新規の患者の取り込みに難航してしまうかもしれません。

これらのことから、対象となる患者様を意識せずに開業してしまうと、患者様に存在を気付かれにくいクリニックとなってしまう可能性が高くなります。逆にターゲットを定め、意識して開業場所を選定し、集患マーケティングを行うことで、たくさんの患者様に親しまれるクリニックにすることができます。

<間違い③>診療圏調査を重視するあまり、実際の現地を見に行かない

診療圏調査を行い、開業コンサルタントの意見を聞いたうえで立地を決めたにもかかわらず、集患に悩むクリニックが多くあります。

その原因の多くは、自分で開業場所に足を運んで調査をせず、診療圏調査のデータから、良い立地であると判断してしまっていることです。 人口が多くても人通りの少ない場所や、道路や線路のそばであっても交通の便の悪い場所というように、地図やデータからは読み取れない立地条件は、実際に現地に足を運ばなければ分かりません。

通りが一本違うだけで人通りが全く違うというのもよくあること。患者様になった気持ちで街を歩き、さまざまな角度から開業候補地を見てみましょう。 開業場所に足を運んで、調査すべきポイントは以下のようなものです。

  • たくさんの人が通り、集まる場所かどうか。また、その印象を数値上の人口と比較する。
  • どのような性別・年代の人が多く通るか。
  • 時間帯によって人通りの増減はあるか。
  • 分かりやすい場所かどうか。駅などから地図を見てすぐにたどり着けるか。

<間違い④>近くに同じ診療科のクリニックがないという理由だけで場所を選ぶ

先生によっては、近くに同じ診療科のクリニックがないと聞くと、「チャンスだ」と感じてその地域で開業してしまうということもあるようです。しかし、その地域に例えば小児科がない場合、そもそも地域に子どもが少なく、小児科の需要がないということも考えられます。ですから、競合クリニックがないからといってその地域に開業場所を決めてしまうのは早計です。

需要があってライバルのいない地域に開業すれば、成功するのは当然ですが、現在そのような地域はほとんどありません。需要がある地域には、必ず同じ診療科目のクリニックが複数先に開業していると考えましょう。 開業場所を選定するには、需要の見込みと、競合クリニックの数やその様子を比較し、より新しいクリニックが求められていそうな地域に開業するのが良いでしょう。その上で、競合クリニックとどこで差別化していくかと考えることが必要です。

悪い立地を少しでも挽回する方法

開業する用地がすでに決まってしまっている場合や、どうしても思い入れのある地域で開業したいという場合、もろもろの事情で開業地域が選べない場合もあります。そういった場合は、少しでも立地の悪さを挽回するために手を尽くす必要があります。

看板を設置する時は、人の流れに垂直に

進行方向に対して並行に設置してある看板よりも、進行方向に対して垂直にある看板のほうが人の目に留まります。人の流れが多い通りに、垂直に設置してある看板で、患者様にクリニックの存在をアピールするのが良いでしょう。

少し遠くても行きたくなるホームページを

パソコンやスマートフォンが普及した現在、患者様の多くはインターネット経由でクリニックを探します。ホームページは立地に関係なく、患者様に情報を提供することのできるツールです。他のクリニックとの差別化をきちんとホームページ上で伝えることができていれば、立地が悪くても多少遠くても、患者様は足を運んでくれるでしょう。

 

参考:勉強会セミナー

開業を成功させる一番のポイントは、事業主となる先生が経営者として成長することにあります。経営者としての考え方、視点、判断の方法を学ぶための勉強会です。

>クリニック開業基礎講座

>クリニック継承基礎講座

>スタッフ採用・育成基礎講座

>広告・集患基礎講座

>開業医の為の将来設計講座

まとめ

クリニックの集患は、立地で大部分が決まってしまうことは事実です。開業したからには、簡単に開業場所を変更することはできないので、必要な時間をかけて開業場所を吟味することが重要です。地域の需要をみたすことができれば、必ずクリニックに患者様は来てくれます。診療圏調査と現地調査を踏まえ、先生ご自身が納得できるデータに基づいて開業場所を選定しましょう。

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