2017.01.26

開業医が税務調査のために知っておきたいこと

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クリニックの運営をするにあたり、売上管理や税金対策と同時に税務調査への対応についてもある程度の知識を持っておきたいものです。ここでは、税務調査とはどのようなものなのか、調査の流れや注意点などを交えながらご紹介いたします。

そもそも税務調査とは?

税務調査は、過去に申告した税金の額が正しいかどうかを、税務署の国税調査員が確認・指導することです。

税務調査が入ったからといって必ずしも悪いことをしているとは限りません。税務調査は全てのクリニックに入るものではなく、機関が「少し調査しておこう」と感じた以下のようなクリニックに対して行われます。

  • 最後に税務調査があってから5年以上経過しているクリニック
  • 同規模のクリニックと比べ、著しく利益が少ない、あるいは接待交際費の割合が著しく多いクリニック

このような税務調査は任意調査に分類され、すぐにでも調査の必要がある強制捜査とは違う分類のものです。調査の連絡が来ても驚かずに、真摯に対応すれば問題はありません。

税務調査の流れ

事前連絡、事前準備

税務調査が入る場合は、事前に電話で連絡が入ります。まれに直接突撃される場合もまれにありますが、顧問税理士が来るまでは入れる必要はありません。

電話で調査の日時を決める際には、同時に調査項目や調査期間についてのお話があります。税理士の助言を得ながら、指定の調査日までに予め資料をまとめておきましょう。

準備しておくべき書類は、主に過去3年間の確定申告書や決算書、総勘定元帳、通帳、請求書や領収証等の経費関係書類、議事録などです。書類の準備はなるべく早めに行い、クリニック内で曖昧な対応となってしまわないよう確認しておくと安心です。また、クリニック内は金庫や書類の場所を中心に整頓し、良い印象が与えられるよう心掛けましょう。

調査当日(1~数日)

調査は、クリニックの運営状況やスタッフ構成などについて院長へ向けた質問があり、その後は事前準備してもらっていた書類の確認が行われます。調査は、患者が訪れる平日に行われる場合もあります。顧問税理士が立ち会うことが可能であれば、経理担当者などへ書類調査の応対をお願いし、院長は診療にあたっても問題はありません。  

ひととおりの調査が終了したら、院長は調査員から修正点の打診や問題点の指摘を受けます。修正が発生した場合は後日改めて回答する旨を伝え、顧問税理士と話し合い、後日改めて回答するという方法をとりましょう。調査が数日に渡る場合は、調査員が帰る際に必要書類をコピーすることもあります。

調査結果報告

調査後は、調査の結果によって以下のような対応が求められます。

  • 修正申告…修正の必要がある部分を修正する必要があります。
  • 更正処分…納税者が修正申告に応じない場合、納税者の代わりに税務署が税額を修正します。
  • 決定処分…税の申告がなかった場合、新たに申告をするよう促されます。
  • 申告是認…特に問題がなかったことが報告されます。

国税調査官が見るポイントはここ

調査官が特に力を入れてチェックする書類は、以下の書類です。

診療関連の収入や計上漏れ

クリニックの診療代は、現金にてやりとりされます。窓口入金と申告書上の金額に大きな差がないかは、必ず確認されます。日々の入金は日計表を作成し、診療割引や費用負担免除がある患者がいる場合は、その旨を明記した明細を残す必要があります。

医薬品、材料費

医薬品や材料費に関する調査では、過去3年間の売上と材料費等の割合から、過大に計上されていないかどうかが判断されます。詳しく調べられてもすぐに提出できるように、納品書や請求書、領収書を日頃からきれいに保管し、在庫の管理を徹底しておくと良いでしょう。

給与、接待交際費、その他経費

給与や接待交際費では、架空のものが存在しないかどうかを中心に調査されます。スタッフの組織図やタイムカード、ロッカー等のチェックから、交際費の領収書や金額を調査さえれた上で、金額の妥当性が判断されます。証明力がある源泉徴収簿やタイムカードはしっかり保管しておき、交際費は業務上で必要であることが証明できるよう根拠を示せるよう準備しておくことも大切です。

修繕費、事業主勘定

修繕費では、クリニックの老朽化を修繕するための支出のみが含まれているかどうか、事業主勘定では、クリニックの支出と家計の支出がはっきり分離されているかどうかが調査されます。どちらも混同してしまいがちなものですので、内容は明確に把握しておく必要があります。

税務調査はここに注意

所得税

所得税をなるべく支払わなくて済むように、できるだけ多くの経費を計上し、税金を下げようと努力するのは皆一緒です。しかし、内容をよく理解しないまま計上してしまい、税務調査が入ってしまっては元も子もありません。  

正しい経費と認めてもらうためには、領収書を保管しておくだけでなく、どのような目的で使用したのか、利用の動機と根拠を示せることが大切です。よく指摘を受けて経費から外されてしまう代表的な例は、院長が半分趣味、半分実務で使用しているものがあった場合に起こります。

(例) クリニックの経費として計上したものの中に、半分趣味で利用している車やカメラがあったとします。調査員から質問を受けた際に、「車やカメラが好きで。」と答えてしまえば、これは趣味の一環として判断され、経費計上できなくなってしまいます。回答する場合は、あくまで事業用で必要な機能があるからなど、調査員な納得できる根拠を用意しておきましょう。

贈与税・相続税

院長から院長の子へお金を残そうと思った場合は、相続税と贈与税に気を付けましょう。贈与は、毎年最大で110万円まで子へ渡すことができますが、院長が勝手に通帳を作って管理していた場合は、贈与とみなされず、相続税がかかる危険があります。贈与税は、受け取る側も把握して初めて成り立つものなので、財産管理は慎重に行う必要がありそうです。  

また、親から受け継いだ相続税に関しても、しっかりとした対応をする必要があります。収入とは別に隠していたとしても、銀行からもらうカレンダーやクリニックと取引のない銀行が一覧に掲載されていた場合、調査員はすぐに気づいてしまいます。隠ぺいはせず、相応の税金を支払うことが大切です。

脱税は結局高くつく

なるべく税金を減らすために、身の回りの様々なものを経費計上できるように操作することもあるかと思います。しかし、たとえ取り繕えたとしても、それは脱税行為です。調査員の目は厳しいため、上辺だけの操作はすぐに見抜かれますし、ペナルティーを支払わなければならない事態も考えておきましょう。節税しようと頑張ったら、かえって高くついた上に信用も失ってしまったとなれば、クリニックの存続も怪しくなってしまいます。

 

参考:勉強会セミナー

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まとめ

税金対策や税務調査への対応は、一見とても厳しいもののように感じられますが、きちんとした環境でクリニックを運営してさえいれば、特に問題が発生するものではありません。備えあればうれいなし。専門家とタッグを組んで、適切な税金対策をしていきましょう。

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