2017.03.03

開業するなら常識?今さら聞けない103万円の壁と130万円の壁

クリニックを開業し、経営者の立場となると、スタッフを雇用する上で知っておかなければならない事柄が多々発生します。
そのうちの一つに、給与所得における103万円の壁という問題があります。
特に、パートスタッフにおいては、年収を103万円、あるいは130万円以内に収めたいというケースも多いでしょう。
ここでは、この103万円、130万円の壁とは何かについて解説します。

103万円の壁って何?

世間で言われる103万円の壁というのは、働く妻の年収が103万円以下であれば、夫は「配偶者控除」を受けられるといものです。 配偶者控除とは、税金の控除のことで、課税される税金から38万円の控除を受けることができます。 また、給与所得が103万円以下であれば、妻自身にも所得税がかかりません。 こういったことから、世帯収入を考える上で、103万円というのは、ひとつのボーダーとなるのです。   

103万円の具体的な内訳は、給与所得控除65万円と基礎控除38万円を足したものです。基礎控除というのは全ての人に適用され、給与所得控除とは、会社員、パート、アルバイト等で給与を得ている場合に適用されます。 クリニックのスタッフとして給与を得る場合には、この給与所得控除が適用できるので、基礎控除に給与所得控除を足した103万円を上限として控除を受けられます。

103万円の壁を超えるとどうなる?

では、所得が103万円を超えてしまうとどうなるのでしょうか? 38万円の控除がなくなり、一気に家計への負担が増えてしまうのか...というとそうでもありません。 103万円を超えても、もうひとつの「配偶者特別控除」を適用できる可能性があるのです。   

配偶者特別控除とは、妻の給与所得が141万円までであれば、夫が3~38万円までの控除を受けられるというものです。 つまり、給与所得が103万円を超えても、141万円までは段階的に減額はされるものの、控除を受けられるとうことです。

130万円の壁って何?

103万円の壁以外にも、もうひとつ130万円のボーダーというのが存在します。

実はこちらの方が、配偶者控除よりも慎重に考える必要があります。 というのも、社会保険の問題が出てくるからです。 妻の年収が130万円以下であれば、社会保険では夫の扶養に入ることができるので、妻は社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料など)を納める必要はありません。 しかし、年収130万円を超えると、夫の扶養から外れることとなり、国民健康保険料や厚生年金保険料を自身で負担しなければならなくなります。 そうなると、20~30万円程度の負担増となり、年収が160万円を超えていないと、実質的に世帯収入が減少することがあるのです。   

世帯収入への影響から考えると、103万円よりも130万円の壁の方が影響が大きいと言えるでしょう。

130万円の壁を気にしなくていいスタッフもいる?

130万円の壁が世帯収入に与える影響は大きいことを紹介しました。 しかし、この影響を受けるのは、夫がサラリーマンで、妻が扶養対象の場合です。 夫が会社員で、社会保険に加入している場合に妻もその扶養に入ることができます。 ですので、夫が自営業の場合にはこの限りではありません。 夫が自営業などで国民健康保険に加入している場合には、130万円というのは気にする必要のないものです。

平成28年10月から始まる106万円の壁とは?

平成28年10月から、厚生年金保険、健康保険の加入対象が広がりました。   

しかしこれは、当面の間は、大企業に1年以上勤務している人対象に限定 されます。 以前は、パート社員は、週30時間以上勤務で社会保険に加入することになっていました。 これが、今回の法改正により、月額8万8000円(年間106万円)、週20時間以上の勤務で社会保険に加入することになりました。 つまり、この場合も、年収106万円を超えると、社会保険に加入しなければならず、収入額によっては手取りが少なくなってしまうことがあるのです。 ※「社会保険加入者が501名以上の会社に勤務し、勤務年数1年以上」の場合に限定されているので、当面は大企業に勤める人が対象となります。

医療機関が想定しておくべきこととは?

前述した平成28年10月からの法改正により、これまで扶養の健康保険や、国民健康保険に加入していた患者が、被保険者の保険証に切り替わるケースがでてきます。 手続きをしてから、手元に保険証が届くまでおおよそ2週間程かかります。 新しい保険証が届くまでの間に来院した対象患者には、新しい保険証が届き次第、必ず来院してもらい保険者の確認を行わなければなりません。 このことを、案内の掲示や、患者への呼びかけを行い、周知徹底する必要があるでしょう。

 

参考:勉強会セミナー

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まとめ

いかがでしたか?
クリニックのスタッフ採用に際し、この103万円、130万円のボーダーというのは、経営者にとって必要な知識です。
特に看護師の場合は時給が高いので、勤務時間が長くなると、このボーダーを超えてしまう恐れがあります。トラブルにならないためにも、採用前に扶養範囲で働くのかどうかということはしっかりと確認しておきましょう。

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