2017.01.27

開業するか検討中の勤務医が、必ず知っておくべきクリニック開業の実態

開業検討

現在、開業医を取り巻く環境は著しく変化しており、開業を成功させることは以前よりも困難になってきています。それは開業するクリニックの数は年間5000件以上あり、クリニックは患者様に「選ばれる」ようになってきているためです。 そのため、無事開業できたとしても、その後、経営が安定するとは限りません。
この記事では、クリニック取り巻く開業環境と、勤務医と開業医の違いについてまとめています。

どんどん厳しくなる開業環境

患者数に対して、クリニックは供給過多傾向

クリニックの数は、一時の停滞はあれど、現在まで増加し続けています。逆に、患者様の受診行動も変化しており、月の平均受診日数は2002年の2.3日に対し、10年後の2012年には1.7日まで減少しています。

患者数が減り、クリニック数が増える状況で、クリニック経営は年々厳しさを増しています。1日の平均患者数が40人にも満たないクリニックは半数を超えるといわれており、平均診療単価を5800円と仮定した場合、年間売り上げは約6000万円、実際の手取りにすると、約1500万円程度と勤務医と同程度。診療をしながら、休診日にアルバイトを継続している開業医も少なくありません。

開業10年で患者数と手取りは減少する

下記のグラフは日本医師会総合政策機構が2008年に発表したデータです。開業10年目をピークに平均手取り金額は減少していくことが分かります。

開業後に患者数と手取りが減少していくのは、いくつかの理由が考えられます。まず、患者数は、仮に今の患者数が1日40人だとしても、それが10年、20年後まで続くわけではありません。近くに同じ診療科目のクリニックが開院して、患者様がそちらのクリニックに流れてしまうこともあります。

また、院長先生自身の体力的な問題から、診療できる人数が減ることも考えられます。仮に開業時、先生が40歳だとすると、20年後には60歳。開業直後のようにバリバリ診療することは難しいかもしれません。

5つの視点から見る、勤務医と開業医の違いとは?

1.開業医は近くにクリニックが開業すると収入に影響が出る

勤務医であれば、患者数が変わっても直接院長先生の給料に変動はありませんが、開業医の場合は、患者数がそのまま院長先生の年収となります。つまり患者数が減って経営が苦しくなれば先生の家計も同時に苦しくなるということです。

近くに同じ科目のクリニックが開業するなどすれば、確実に患者数は減ります。クリニックを開業するのであれば、競合のクリニックを想定しなければなりません。

しかし、言い換えれば、そういった環境の変化に対応して経営していくことができれば、勤務医時代以上の年収を得ることも可能です。

2.一度開業すると、簡単に移転・撤退ができない

勤務医であれば、環境を変えるために転職などで勤務地を変えることが可能ですが、一度クリニックを開業すれば、そこから場所を変えることは基本的に困難です。

移転するには、一から開業し直し、スタッフや患者さんも集めなおすという手間や時間、お金がかかります。借り入れ金とその返済もあるため、現実的に移転・撤退は難しいでしょう。

3.院長の所得から医療機器買換えや内装修繕の支出が必要

勤務医であれば、病院で新しい医療機器を買うのも、内装をリニューアルするのも、病院側が行うことであり、先生の年収には直接影響がありません。

しかし開業医の場合、クリニックでの医療機器の買換えや内装リフォームなど将来の大きな支出も想定して貯蓄しておく必要があります。医療機器の故障や、定期的な入れ替えを想定し、常に余裕を持って蓄えを持つことが重要です。

4.開業医には退職金がなく、年金もほとんどない

勤務医として病院で働いていれば、退職金があり、また厚生年金からある程度年金も受け取ることが可能です。しかし、開業医となると、法人化していない場合は退職金がありません。小規模共済という制度はありますが、25年加入したとしても受け取れる金額は 約2,000万円程度。年金も国民年金となりほとんど年金が出ません。

ですから、引退後のセカンドライフを見越して老後資金を蓄えておく必要があります。例えば、65歳で引退し90歳まで人生があったとした場合、引退後のセカンドライフは25年。年間1,000万円と考えると、単純計算で2億5,000万円+αの老後資金をためたいところです。日々の経営を行いながら、引退後の未来を想定しておくのも大切になってきます。

5.後継者の育成と承継を考えないといけない

開業医はクリニックの後継者のことも考える必要があります。後継者がいなければ、それまで診てきた患者様に別のクリニックに移動してもらう必要もでてきますし、診療所自体を現状復帰するなどの支出もあります。

先生のご子息を後継者として育成する場合は医学部に行かせるなど教育費の出費が必要となります。私立医学部にいくことになれば、仕送りを含め約5,000万円ほどが必要になります。 また、第三者へ承継する場合、承継時にある程度患者数がないと、承継相手が見つけづらくなります。開業を考えるのであれば、クリニックの将来についても考える視点が必要です。

 

参考:勉強会セミナー

開業を成功させる一番のポイントは、事業主となる先生が経営者として成長することにあります。経営者としての考え方、視点、判断の方法を学ぶための勉強会です。

>クリニック開業基礎講座

>クリニック継承基礎講座

>スタッフ採用・育成基礎講座

>広告・集患基礎講座

>開業医の為の将来設計講座

まとめ

開業は今後の人生を左右する大きな決断であり、ご家族の人生にも関わってきます。開業を成功させるには、開業したいという意欲に加え、開業医を取り巻く環境や、何が開業に必要となるのかなど、視野を広くして情報収集を行うことが大切です。

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