2017.02.22

診療効率化が利益増につながる?クラーク制導入の費用対効果を検証!

最近、クラーク制を導入しているクリニックが増えています。メディカルクラークを採用すると、医師や看護師の負担が少なくなり、より自身の業務に集中できるため、待ち時間短縮などの診療効率化が期待できます。
しかし、スタッフを増員すると人件費がかさみ、クリニック全体の利益が減ってしまうのでは?と考えている先生も多いでしょう。
ところが、クラーク制の導入によって患者の利便性、満足度が向上したことにより、むしろ利益増につながるケースがとても多いのです。
今回はクラーク制を導入することのメリットやデメリットについて解説し、具体的にどれくらいの利益の増加が見込めるのか、簡単なシミュレーションを行いました。クラーク制を導入するか悩んでいる場合は、ぜひ参考にしてくださいね。

メディカルクラークを導入する主なメリット・デメリット

クラーク制についてはどのようなメリットがあるのでしょう?よく挙げられるものは、医師が常に患者と向き合って診療できる、カルテを書く作業をクラークに任せられるため、患者の待ち時間短縮につながる、といったものです。 いずれも患者がクリニックに対して不満に感じやすいポイントであるため、メディカルクラークの設置によって患者満足度は大きく向上すると考えられています。

ただ、クラーク制の導入にはいくつか問題点もあります。
まず、スタッフの採用や育成に手間やコストがかかることです。メディカルクラーク経験者は人材市場に滅多に流れてこないので、多くの場合、一から指導していくことになります。そして、効率的な教育指導のために、マニュアルの整備や職場での協力体制が求められます。

また、職場のスタッフから反対の声が挙がることも少なくないでしょう。慣れ親しんだ環境を変化させることに抵抗を感じる人は多いです。

しかし、将来的な利益増、患者にとっての利便性向上を目指すならば、クラーク制導入はそれらを実現する一つの手段になりえます。スタッフとよく話し合い、全員が納得したうえで実行することが大切です。

クラーク制を上手く活用するためのポイント

クラーク制を導入しても、上手く活用できなければ意味がありません。一つの例として、患者の待ち時間を短縮するためのポイントをご紹介します。

カルテ記載の役割分担

診察後のカルテ記入は、患者の回転率の面から言えば大きな時間のロスです。しかし、この作業をメディカルクラークに任せることで、医師はすぐに次の患者を診ることができます。

これにより、患者は待合室で待たされる時間が減りますし、クリニックとしてはより多くの患者を診ることができ、まさにWin-Winの関係になるのです。

問診票を診察前にカルテに記入

診察前に問診票をカルテに記入しておいてもらえば、診察時間の短縮につながりますし、同じ説明を診察室でもう一度する、といった患者にとって煩わしい作業をなくすことができますね。いずれも患者の満足度の向上に大きく寄与する重要な部分です。

2つの診察室を活用する

これはメディカルクラークが2人以上いる場合に、より有効な方法です。各診察室に1人ずつメディカルクラークが待機し、医師は診察時に各部屋を移動するのです。これならカルテ記入による時間のロスをほぼゼロにできますし、メディカルクラークも一つの作業に集中して取り組めます。その結果、診療効率化につながり短時間でより多くの患者を診ることが可能になります。

このようにクラーク制を有効活用すれば、大幅な診療時間の短縮が可能です。他にも他医院への紹介状の作成や、診断書の発行などをクラークに任せることができれば、看護師や事務員の負担減にもつながるでしょう。

クラークを採用した場合の費用対効果のシミュレーション

クラーク制を導入する一番のネックは、人件費増による利益減だと思っていませんか?確かにスタッフを増員すれば人件費は上がり、同じ額の利益を出そうとすればより多くの収入を得なければいけません。 しかし、クリニック運営においてはその利益率の高さから、人件費をカバーする収入を生み出すのは比較的容易なのです。簡単なシミュレーションを行ったのでぜひ参考にしてください。

まず、メディカルクラークの年収を350万円と仮定しましょう。そして、クラーク制導入前は1時間あたり10人の患者を診ていたとします。1人あたりの平均診療時間は約6分ですね。 ここでクラーク制を導入し、仮に1人あたりの平均診療時間を30秒短縮できたとすれば、1時間あたりの診察可能人数はおよそ11人となります。

とはいえ、クリニックも1日中ずっと混雑しているわけではありませんから、1日あたりに直すと3人程度の増加でしょう。 そして、内科クリニックの場合、患者一人あたりの平均診療単価は5,800円だと言われています。また、クリニックは高利益率の経営モデルで、院外処方の場合、原価率はわずか10%にも満たないことがほとんどです。また、患者数が増えたとしても原価率が変わることはほとんどなく、一律90%程度だと仮定できます。

そのため、5,800円のうちの90%、およそ5220円がクリニックの利益になります。

1日あたりの来院数が3人増えたと過程すると、クラーク制の導入により1日の利益は15,660円増加すると考えられます。 1か月の診療日数が21.5日(半日の日は0.5日で計算)とすると、1か月あたりの利益の増加額は336,690円になります。 さらに、これを年間あたりにすると4,040,280円の利益増となり、メディカルクラークの人件費を大きく上回ります。差額の50万円前後が新たに院長の収入となるわけですね。 これは1日あたり3人の患者が増えた場合のシミュレーションです。

しかし、実際は診療の効率化による患者の満足度の向上、リピート率の増加により、さらに多くの患者数増加も見込めるでしょう。また、作業の分担によるスタッフの負担減から職場環境や人間関係も良くなり、より働きやすい職場が実現できるかもしれません。

まとめ

簡単なシミュレーションですが、クラーク制の導入はより利益の増加が見込めることが分かりました。また、患者満足度の向上により、クリニックの評判が上がるのも大きなメリットです。人間関係と同じく、周囲からの信頼は一つの資産とも考えられます。評判のいいクリニックには多くの人が訪れますよね。

ただ、これらのメリットを十分に享受するためには、クラーク制を上手く活用していくことが必要になります。クラーク制については、まだ十分なノウハウの蓄積がなく、試行錯誤をして良い方法を探していかなければならない部分も多くあります。
クリニック内でクラーク制に関するマニュアルを作り、必要に応じて補完していったり、スタッフ間で相談してPDCAサイクルを回したりと、多くの人の協力が不可欠です。
クラーク制を導入する場合は、全員が働きやすい職場環境を構築していく必要があります。

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