2017.05.06

整形外科で理学療法士は採用すべき?費用対効果を検証

PT費用対効果

整形外科を開業するにあたり、スタッフ体制をどのようにするかで悩まれることが多くあります。
特に、施設基準の関係もあり、理学療法士を常勤として雇用するか、人件費を考慮し理学療法士なしの体制でいくかは非常に重要な問題です。今回は、整形外科クリニックにおいて、理学療法士を採用すべきか?また採用する場合、何人患者数を増やせば人件費を回収できるか?を検証していきます。

整形外科は整骨院や通所リハ施設も競合する

現在整形外科クリニックは全国に約1万2000件程度あり、その数自体はそれほど増えていません。しかし整形外科クリニックの場合、競合となるのは同じ整形外科クリニックだけでなく、整骨院や通所リハビリ施設も含まれてきます。

患者様にとっては、整形外科と整骨院の違い自体知られていないことも多く、立地やPRの仕方によっては、近隣に整形外科クリニックがない場所で開業しても整骨院に患者を奪われてしまうケースも多くあります。 また整骨院は現在整形外科の4倍近い数あり、競争が激化しています。 そのため、生き残りをかけ広告を出しており、中でも単価の高い交通事故の患者獲得には相当の力を入れている傾向があります。

通所リハビリテーションは高齢者のリハビリ患者がそちらに流れるため高齢者が多い整形外科には大きな影響があります。患者からすると、1回20分程度のクリニックのリハビリより、数時間しっかりリハビリができ、高齢者同士のコミュニティを築きやすい通所リハビリを選ばれるケースも少なくないのです。

整形外科で差別化する一番のポイントは「リハビリテーション」

整形外科は他の診療科に比べ平均単価が低い特徴があります。

内科の場合、患者一人当たりの平均診療単価はおおよそ5800円程度です。眼科で5500円、皮膚科で3500円程度ですが、整形外科はさらに低く約2800円ほどになります(院外処方の場合)。

一方で、整形外科の患者数は内科に比べると少なく(内科の6分の1程度)、ですがリハビリがある関係で再診回数が多く、一人当たりの受診日数が多い傾向にあります。 つまり、整形外科の特徴としてよく表現されるのは「薄利多売」のビジネスであるということです。整形外科で経営していくにあたって、診療単価を上げるには限界があるため、いかに多くの患者数を診れるかがカギとなります。   

内科の1日の患者数が大体40~50人であるのに対して、整形外科の平均患者数は100 ~130人程度です。しかしこれだけの患者数を先生一人で見ることは難しく、実際はその約半分はリハビリのみの患者である場合がほとんどです。 つまり、いかにリハビリテーションを充実させ、患者数を確保するかが重要と言えます。

診ている患者数が同じ100人でも、理学療法士を常勤で2名採用すれば利益が140万円増加する理由

整形外科の場合、1日の患者数が100~130人程度、平均診療単価が2800円とご説明しました。ただしこれは理学療法士を採用していない整形外科クリニックのケースです。理学療法士を採用し、「運動器リハビリテーション料(Ⅱ) 施設基準」をとっているクリニックの場合、平均診療単価はおおよそ3200円程度になります。 では理学療法士がいるクリニックといないクリニック、どちらが良いのか、事例をもとに検証してみます。

事例1.理学療法士がいないクリニック

条件
  • 1日の患者数100人
  • 平均診療単価:2800円
  • 原価率(5%)※整形外科平均値
  • 月の診療日数:21.5日
  • 人件費:2000万円

患者数100人

上記の条件の場合、年間売上は約7200万円、経費を引いた後に残る利益(年収)は約2150万円となります。



事例2・理学療法士を常勤で2名採用したクリニック

条件
  • 1日の患者数100人
  • 平均診療単価:3200円
  • 原価率(5%)※整形外科平均値
  • 月の診療日数:21.5日
  • 人件費:2000万円


このケースでは診療単価が3200円に増加するため、年間売上は約8256万円となります。一方給与は、理学療法士を2名(一人給与420万円)で840万円増加しています。 しかし経費を引いた後に残る利益(年収)は約2293万円となり、結果的に140万円増加します。 つまり、患者数は変わらず、理学療法士を2名採用しても利益(年収)は140万円増加するのです。 しかし、理学療法士を採用することで、リハビリ患者の満足度がUPし、患者数が増加することも十分考えられます。

理学療法士を2名採用し、1日の患者数が平均20人増えれば、利益(年収)は950万円増加する

仮に、上記の条件で患者数が1日120名に増加した場合、

上記のように利益は約950万円増加します。 一見、理学療法士を採用するのは人件費などを考えるとリスクが高いように感じられますが、このように数字ベースで考えていくと、非常にリスクが低く、かつ他院と差別化していくために重要な戦略と言えそうです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。整形外科においてリハビリにおける差別化は非常に重要です。その中で理学療法士を雇用し、施設基準を満たせば人件費増加による利益減少のリスクはほとんどありません。
これから整形外科クリニックを開業予定の先生は、近隣の整形外科だけでなく、整骨院や通所リハ施設などとの差別化を踏まえ、理学療法士の採用を考えられてはいかがでしょうか。

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