2017.01.08

承継開業と新規開業、どちらがベストな選択か

承継開業

クリニック開業の際、多くの方が悩むものが一つあります。それは一から「新規開業」すべきか、それとも他の病院を引き継ぐ形の「承継開業」にすべきか、この2つの選択肢です。
双方の形式にメリットとデメリットがあるため、それらを天秤にかけて考えるわけですが…迷えば迷うほど時間がたち、開業のタイミングを失いかねません。
そこで今回は、新規と承継、2つの開業スタイルについてメリットとデメリットを踏まえご紹介します。

第三者承継による開業とは?

第三者承継とは、文字通り第三者との間で行う承継開業を指します。親子間で行う親子間承継以外の承継は、この第三者承継にあたります。 承継による開業は、以前のオーナーとなるドクターが利用していたクリニックの土地や施設、設備、営業権などを金銭等の対価を支払うなどして譲り受け、新たにクリニックを開設する形となります。

クリニックを譲る側と譲られる側、双方にメリットがある形で承継する形になれば理想ですが、実はそう簡単にはいかないケースも。第三者承継には落とし穴があると認識するためには、メリットとデメリットを踏まえて開業を考えていくことが大切です。

承継ニーズが増加している背景

承継ニーズが増加している背景はまず、ドクターの高年齢化です。近年では、一般の会社と同様にクリニックに従事するドクターの高齢化が進んでおり、引退を考えるドクターも少なくありません。 その際発生するのがクリニックの後継者問題です。後継ぎとなる子息がいない、廃業したいが患者やクリニックのスタッフのことを考えると簡単に畳むことはできない、子どもに継がせるのが不安、といった開業医も多く、第三者承継が増えています。

第三者承継ニーズが増えている背景には、ドクターの高齢化以外にもいくつか理由があります。 まず、病気やけがによる診療継続ができないケース、子どもの教育環境を考え開業地から都心へ移動したいという希望。親の介護、海外移住、ライフスタイルの変化などを理由に、誰かにクリニックを譲りたいと考えている方も少なからずいらっしゃるようです。

一方で勤務医の方は、初期投資資金、設備資金などの費用が準備できない、あるいは融資が受けられない、患者の確保に不安がある、といった理由から新規開業をためらう方も多く、第三者承継のニーズが一定の割合で増えています。 このように「譲る側」と「譲られる側」双方において第三者承継のニーズが増加しているのです。

第三者承継のメリットと注意点

それでは第三者承継のメリットについて説明します。 これから開業を行う医師にとって、第三者承継で得られるメリットは、大きく分けると「コスト」「患者」「人的側面」の3つです。では順番に見ていきましょう。

「コスト」

まず開業費用です。新規開業した場合に必要な土地や建物などの不動産費用、医療機器などの設備費用など、大きな費用を抑え、低コストで開業することができます。 また前オーナーが作り上げた「クリニック」が資本となるため、銀行からの融資も新規開業した場合より受けやすくなります。

「患者」

新規開業とは違い、患者をゼロから集める必要がなく、ある程度患者のいる状態からスタートできます。 長年の実績があり、地元の人たちになじみがある点は利用のしやすさにつながりますし、認知度がある点は、広告コストを必要以上かけることなく患者を集めることができる点で大きなメリットとなります。

「人的側面」

スタッフを引き継げる点も魅力です。採用コストをかけずに済むため経営におけるメリットが大きく、また、患者や地域を良く知るスタッフを引き続き継続できる点も、経営資源として大きな魅力となるでしょう。 そのほか、地域の医師会などに参加しやすいといったメリットも、第三者承継にはあります。

第三者承継にあたっての注意点

一方で、第三者承継には注意しておかなければならないポイントがあります。

まずは承継自体の問題です。 譲渡する側との経営理念が合わず、承継がスムーズに運ばないケースが考えられます。 そもそも承継する側の医師が、承継後の経営に何も言ってこない場合、問題ありません。しかし医師によっては、自院で今までやってきた医療サービスや、自分の経営方針などに強い思いがあり、承継後の経営に口を出してくるケースもあります。 このような場合、患者の引継ぎの関係もあり、前院長の方針を無碍にできないため、新院長の目指す医療がすぐに行えない可能性があります。

次に患者離れの問題です。 診療方針の違いにより患者さんが離れてしまうケースがあります。 前院長の診療が地元で支持されている場合、一定数の患者は院長の交代後、クリニックから離れてしまいます。ただ、承継にはこの事例はつきもの、一定数は必ず減少してしまうものなのです。 急な交代で、多くの患者を失わないように、承継の際は、半年程度は前院長と2人で診療を行い、患者の引継ぎを行うことが大切になります。

スタッフの問題も起こりえます。 スタッフを引き継いだが相性が合わないというケースです。 スタッフからすれば、地域、そしてクリニックの患者のことは自分の方がわかっていると考えています。それだけに新院長の診療方針に対し「納得できない」「新しい院長は患者のことを何もわかっていない」とし、関係がうまくいかないケースがあります。 承継ではコスト面や施設面ではなく、人的側面が最大のネックになることもあります。スタッフの継承は慎重に考えた方が良いでしょう。承継を期に全てのスタッフに対し、面接の機会を設け、新体制を構築したほうが良いケースもあります。

最後に立地の問題です。 そもそも承継した立地がよくないというケースです。 承継にあたっても、新規開業で立地を探すときと同様、事前に立地調査し、今後集患が望める地域かどうか見定める必要があります。近隣の競合にどのようなクリニックがあるか、地域の人口が増加傾向にあるか、あるいは減少傾向にあるのかなどをしっかりとチェックします。 現在何人の患者が来院し、ピーク時には何人来ていたかといった情報だけでなく、長期的視野に立ち、この地で今後20年、30年とやっていけるかどうかという視点で考えることが大切です。

新規開業のメリット

では承継ではなく、新規開業した場合のメリットを見てみましょう。

新規開業する場合のメリットは、クリニックの立地や物件のデザインはもちろん、内装のレイアウト、導入医療機器、スタッフ採用を自分の好きなようにコントロールできる点です。院長のイメージ通りにクリニックをプロデュースするわけですから、コンセプトをお持ちの先生なら新規開業のメリットはさらに大きいと言えます。

新規開業のデメリット

新規開業のデメリットはコスト面です。 不動産、内装設備、医療機器、スタッフ確保など、かなりの費用となります。

そして一から集患しなければならないため、広告費も大きなコストとなるでしょう。運転資金もある程度大きな額を用意しておかなければなりません。

 

参考:勉強会セミナー

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>クリニック開業基礎講座

>クリニック継承基礎講座

>スタッフ採用・育成基礎講座

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>開業医の為の将来設計講座

まとめ

クリニック開業の際、新規開業と承継の2種類の形式があります。
第三者承継の場合は立地、地元でのイメージや患者数、その他承継の条件を鑑みて、慎重にご検討ください。
資金面に問題がなく、自分の意図した場所に好きなデザインのクリニックを提案したい方は新規開業を検討してみてはいかがでしょうか。それぞれのメリットとデメリットを踏まえ、開業計画を立ててみてはいかがでしょうか。

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