2016.12.21

年収アップに直結するのは?開業医が知るべき確定申告書の読み方とその活用

医院経営

近年、開業医の世界も競争が激化してきています。
クリニックを経営するにあたり、患者数をどのように増やしていくか、経費をいかに抑えるかといった課題に挑もうとされている方も多いのではないでしょうか。
経費を抑えることで年収アップにつながる……本当にそうでしょうか?
ここでは、開業医が効率良く利益を得るためにはどうすれば良いのかを考えていきたいと思います。

利益は売り上げから経費を除いたもの。覚えておくべき基本公式 

まず覚えておきたいことは、利益は実際の売り上げから必要経費を除いたものであるということです。さらに、この利益から税額を除いたものが、経営者が手にする手取りの金額ということになります。

公式としては、

売り上げ-経費=利益、

利益-税金=手取り、

となります。

また、経営にかかった経費の他に、基礎控除や生命保険料などが控除されます。利益からこれらが控除された金額に税率をかけ、納税額が決まります。 そこで、手取りの金額を増やすための手段としては「売り上げを上げる」か、「経費を下げる」「節税」の3つが考えられます。

意外かも?クリニックの利益率は非常に高い

クリニックの経営の特徴を捉えるには、確定申告書を読むのが良いでしょう。 確定申告書の項目のうち、経費を4つに分けて見てみます。その4つとは、「原価」「人件費」「家賃・設備費」「その他」です。

このうち、原価に注目してみましょう。利益は、収入から経費を引いた金額であることを述べました。人件費や設備費は個々のクリニックにより上下しますので、ひとまず単純に収入から原価のみを差し引いた粗利益のみを算出してみます。

ここで言う原価とは「診療材料費」、ガーゼや注射など診療に用いる消耗品費のことです。 内科の場合、診療材料費は売り上げの10%ほどが平均です。残りの90%は粗利益として残ります。

書店の場合、原価は80%ほど。小売店の得る利益は20%ほどであると言います。 つまり、クリニックの利益率は他の業種に比べ非常に高いのです。

同じように利益率の高い業種に美容院がありますが、美容院では1人ひとりの客にかかる時間が長いため、クリニックのように多くの人数を捌くことができません。 クリニックでは原価が低い上、短時間で多くの患者を診ることができるため、利益が非常に大きくなります。

確定申告書に見る、クリニックの経費

それでは、先ほど4つに分けた経費の内訳を見ていきましょう。

◆診療材料費=原価

これは、診療に用いる消耗品を購入する経費で、患者が増えればそれだけ増えるものです。 変動費とも呼ばれ、売り上げに比例して増える経費です。

◆人件費

これは人にかかる費用で、スタッフの給料や法定福利費(雇用保険・厚生年金など)、福利厚生費(社員の飲食代、忘年会、新年会など)を指します。

◆家賃・設備費

これは土地や建物、設備に関わる費用です。 家賃・地代・駐車場、水道光熱費、リース料、医療機器やコピー機などにかかる金額を指します。 このうち、クリニックの内装や医療機器、車など、数年間にわたり使用するものは減価償却費として処理されます。

◆その他

上記以外の経費を指します。

●租税公課(固定資産税、自動車税など)
●旅費交通費(交通費やホテル代)
●通信費(電話料金など)
●広告宣伝費(看板掲載料、パンフレット作製費用)
●損害保険料(火災保険料、自動車保険料)
●車両費(ガソリン代、車検費用、保険料、メンテナンス費用)
●修繕費(内装などの修繕費用)
●消耗品費(文房具などの消耗品の費用)
●利子割引料(借入金の一年分の利子)
●接待交際費
●諸会費(医師会費等)
●支払い手数料(銀行の手数料、税理士の報酬など)
●教育研修費(学会参加費用、スタッフの教育研修費、書籍代等)

クリニックの経費は減らせるか?答えは、NO!

手取りの金額を増やすためには「売り上げを上げる」「経費を下げる」「節税」の3つが考えられると述べました。

実際のところ、クリニックの経費は減らすことができるのでしょうか?
まず、クリニックでかかる経費のうち最も高いのは「人件費」です。開業医のクリニックでは、売り上げの20%から25%ほどの人件費がかかると言います。それでは、最も多くかかる費用を削ることはできるでしょうか。

スタッフの給与や賞与を削れば、スタッフは不満に思い、仕事に対するモチベーションが下がってしまいます。スタッフの仕事ぶりにより、患者が離れてしまうことも考えられるため、人件費は削ってはいけない経費と言えます。

それでは、「家賃・設備費」はどうでしょうか? 土地や建物にかかる経費を削減するためには、地代や家賃の安い土地に移転するしかありません。これは、ほぼ不可能です。 また、減価償却費やリース代は定まっているため、これらを減らすことも難しいでしょう。

「その他」の経費については、節約することで幾らかは減らすことができるかもしれません。しかし、この経費は他の経費に比べて金額が大きくないため、経費を少し抑えられてもあまり利益にはつながらないでしょう。

つまり、クリニックの経費で削減できるものはほとんどないと言えます。これらの経費を削減することで年収を上げることは難しいのです。 また「節税」に関しても、納税額は医療法人化する場合を除き、ほとんど減らすことはできません。

開業医に必須の利益アップ法、それは「患者数を増やすこと」

開業医が手取りの金額を増やすのに1番効果があるのは「売り上げを上げる」ことです。 クリニックにおける売り上げとは、患者数×平均診療単価を指します。診療単価は国が定めるので、自由診療の場合を除き勝手に変えることはできません。

つまり、売り上げを上げるためには、患者数を増やすしかないのです。 さらに、売り上げを上げるためには新患を増やすだけでなく、定着させることが大切です。クリニックに通い続けてくれる患者数を増やすことが、年収増加の鍵なのです。

僅かな患者数の変動で年収が大きく変わるという事実

平均的な内科クリニックでは、1日の患者数が40人から45人に変わるだけで、利益は1年あたりおよそ720万円増加すると言います。

40人が50人になれば、年収は約1400万円増加します。
1日に5人から10人増やすだけで、年収はこれだけ変わるのです。 数字だけ述べられても、にわかには信じがたいかもしれません。

それでは、なぜ患者数が増えると年収が増えるのか、その仕組みをご説明します。

患者数が増えれば、その分売り上げが増加します。しかし、クリニックの4つ経費のうち、患者数に従い増加するのは「診療材料費」のみです。

人件費や設備費に変動はなく、その分利益が大きくなるのです。

具体的な数字を述べると、
院外処方の平均的な内科のモデルでは、患者1人あたりの平均診療単価が5800円です。

月の診療日数が23日であった場合には、

5800円×23日×12ヶ月で年間約160万円売り上げが増加することになります。

診療材料費が売り上げの10%とすると、1人の患者の増加に伴い経費は年に16万円増加します。

増えた分の売り上げから増えた分の診療材料費を除くと、残りは144万円。単純計算では、患者が1人増えるごとに、利益は年に144万円増加することになるのです。

 

参考:勉強会セミナー

開業を成功させる一番のポイントは、事業主となる先生が経営者として成長することにあります。経営者としての考え方、視点、判断の方法を学ぶための勉強会です。

>クリニック開業基礎講座

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まとめ

個人経営のクリニックでは、患者数が僅かに増減するだけで経営者の年収は大きく変動することがおわかりいただけたかと思います。
経営者の手取りを増やすためには、経費や税金を削減しようとするのではなく、患者数を増やし、定着させるのが一番手っ取り早いのです。
他の経費は削減するのは困難ですし、節税も患者数を増やすことほど年収増加につながらないため、収入を増やしたい場合には患者数を増やすことに集中するべきです。
集患に専念し、余計なストレスを抱えることなく増収につなげましょう。

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