2017.03.22

勤務医はどこまで節税ができる?
年収1500万円の勤務医が20年後に残せる金融資産額

勤務医

勤務医の先生の年収は役職や勤務している病院によって異なりますが、総務省統計局の調査によれば、平均は1000万円~2000万円程度となっています。そのため、開業医のように節税の方法はないか検討される方も多くいらっしゃいます。
今回は、勤務医が実施できる節税手法、また年収1500万円の勤務医の場合引退時にいくらの金融資産を残すことができるのか検証していきます。

勤務医の平均年収は1,000万円~2,000万円

勤務医の平均年収は、勤務医している病院や役職によって違いはあるものの、おおよそ1,000万円~2,000万円という方が多いのではないでしょうか。 しかし、この額はあくまで額面の給与で、ここから社会保険料(健康保険、厚生年金等)や所得税・住民税が差し引かれます。日本の場合、現在の所得税率は

  • 900万円~1800万円:33%
  • 1800万円~4000万円:40%
  • 4000万円超:45%

となっており、住民税は一律10%です。 そのため、「なんとかして税金を抑えたい」と考えられている方も多いのではないでしょうか。では、勤務医が節税するにはどうしたらいいのでしょうか?

勤務医ができる節税対策とは?

税金は下記のような計算式で算出されます。

つまり、税金を下げるための方法は2つしかなく、

  1. 年収(額面の収入)を減らす
  2. 控除額を増やす

上記の2つしか方法はありません。しかし、①の方法は手取り額が減ってしまい意味がありませんので、実際は②の方法を考えていくことになります。 では、控除にはどのようなものがあるかを確認していきます。

  • 給与所得控除・・・控除額は年収で決まっているため対策不可
  • 基礎控除・・・誰でも一律38万円となっているため対策不可
  • 配偶者控除・・・条件を満たしていれば一律38万円。対策不可
  • 扶養控除・・・額は決まっているため対策不可
  • 社会保険料控除・・・社会保険料の額は決まっているため対策不可
  • 医療費控除・・・保険医療で負担した額で10万円以上、200万円以下部分を控除できる。領収書を取っておき控除の漏れをなくすことが大切。
  • 生命保険料控除・・・最大12万円まで控除可能。
  • 地震保険料控除・・・最大5万円まで控除可能。
  • 寄附金控除・・・「ふるさと納税」等の寄付金が控除されます。ふるさと納税を実施することで商品をもらうことができ、控除分節税にもなるため効果的。
  • 住宅ローン控除・・・住宅をローンで購入した場合適応されます。

上記のような方法があります。

しかし、ほとんどの場合は「漏れなく申告」する以外方法がなく、「ふるさと納税」が唯一節税対策が可能な方法と言えるかもしれません。しかし、節税対策になるからとはいえ、 それほど必要でないものにまで「ふるさと納税」を行ってしまうと本末転倒になってしまいます。

そのため、勤務医の場合、開業医のように節税することは難しく、節税対策には限界があるといえます。

勤務医のライフプランを考える!
年収1500万円の勤務医が20年後に残せる金融資産額はいくら?

年収1500万円の場合、手取り額は約1080万円

勤務医で、年収1500万円もらっていても、実際の手取り額とは異なります。 例えば、年収1500万円で子供二人の場合、 社会保険料(健康保険・厚生年金等)で年間約145万円程度、 所得税と住民税で約275万円程度となります。 合計で420万円程年収から引かれるため、手取り額としては約1080万円程度です。 つまり年収の約30%ほど差し引かれた額が先生の手取りとなります。

手取り額から私生活の支出を引くといくら預金できる?

手取りが額1080万円から、

  • 生活費 40万円/月(年間480万円) (食費・水道光熱費・管理費/駐車場/固定資産税・図書費/通信費・被服費・交際費)
  • 住宅費 20万円/月(年間240万円) (6000万円のマンション(30年ローン)の場合、年間240万円程。)
  • 子供の教育費 年間100万円(2人) (公立の中高の進学。塾代等含む)
  • 旅行などの趣味・余暇費 年間60万円

上記を差し引くと、年間の支出額は約880万円となります。手取りの1080万円から880万円の支出を引くと、年間の預金額は約200万円です。 この預金の積み重ねが、退職後の老後資金となります。

仮に退職まであと20年あるとすると、200万円×20年で約4000万円貯蓄できるという計算になります。

年収が1500万円から2000万円に増加すると、 手取りは約1,520万円に。年間で預金できる額はいくら増える?

年齢とともに役職が上がり、年収が1500万円から2000万円まで増加すれば、手取りが額は約1520万円程度に増加します。

一方、支出で増えるのはこどもの教育費です。

先ほどの例で長男が大学に進学すれば子供の教育費 年間300万円 (長男:私立大学費用100万円、仕送り200万円/次男:公立高校+塾代60万円) 上記を差し引くと、年間の支出額は約1080万円となります。

手取りの1520万円から1080万円の支出を引くと、年間の預金額は約440万円です。 仮に退職まであと20年あるとすると、440万円×20年で約8800万円貯蓄できるという計算になります。

住宅費・子供の教育費・親の介護費・老後資金… この先50年で想定される大きな支出はいくら?

勤務医の先生の今後50年間で想定される支出です。

私生活における支出として、大きなものは

  • 住宅費(現在の住宅のローン返済や家の買替え費用など)
  • こどもの教育費(予備校や塾代、大学の入学金や授業料、仕送り費など) ※私立医学部に進学するとなると6年間で仕送り費も含め4000~5000万円程度

この他、

  • 先生自身の趣味(家族旅行・車など)にかかる費用
  • 親の介護費用など(老人ホームに入居で月30万円、年間360万円程度)
  • 老後の準備資金

これらのことを想定しておく必要があります。

退職後、老後の必要資金は7,000万円以上

上記の支出を引いた上で、60歳時に残った金融資産が老後の資金となります。

勤務医の場合、開業医と違い退職後の雇用は保証されていませんので、 ご自身で老後資金を蓄えておく必要があります。 ではこの老後資金はどの程度必要なのでしょうか。 先生が引退後に求める生活レベルや何歳まで生きるかにもよりますが、 仮に60歳から90歳まで30年として計算すると次の通りになります。

事例で検証!年収1500万円の 勤務医の生涯金融資産シミュレーション

では、年収1500万円の勤務医の事例をもとに、60歳時に残せる金融資産のシミュレーションを行ってみたいと思います。

38歳で年収1500万円のままいった場合、 60歳時に残る金融資産は約4,000万円

上記の前提条件で、院長先生の年収が38歳から60歳まで1500万円でいった場合、どうなるかをシミュレーションしたのがAのプランです。

このプランでいった場合、60歳時に残る金融資産は約4000万円となります。 これは、60歳時に退職金2000万円を含めた額となります。 また、60歳時点で住宅ローンは658万円残っています。

開業医の場合どうなる? 1日の患者数50人の開業医の生涯金融資産シミュレーション

先ほどと、ほぼ同じ条件の場合、患者数50人を診ている開業医は60歳時にいくらの金融資産を残すことができるのでしょうか。

1日患者数50人診る開業医の場合、60歳時に残る金融資産は約2億2000万円

上記の前提条件で、院長先生の年収が38歳から60歳まで患者数1日50人でいった場合、どうなるかをシミュレーションしたプランです。

このプランでいった場合、60歳時に残る金融資産は約2億2000万円となります。開業医の場合、勤務医とは違い、クリニックの運営費として

  • 内装のリフォーム費用
  • 医療機器の買替費用
  • 院長の車の買替え

※上記合計4500万円の支出(すべて経費となる) が発生していますが、それを差し引いても、生涯年収は勤務医の約5.5倍となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。勤務医の場合、開業医とは違い節税のための方法はほとんどありません。
また、日本の平均以上の高い年収を得られるとはいえ、どうしても年収の上限はあります。

「子供を借入なしで私立医学部に進学させたい」
「子供の成長に合わせ、今以上に広い住宅に買い替えたい」
「引退後の生活を考え、引退時には最低でも2億円は準備しておきたい」

など理想の人生設計を妥協せず実現したいと考える場合、リスクはあるものの経営次第でどこまでも理想の医療と人生設計を追求できる”開業”というのもひとつの選択肢ではないでしょうか。

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