2017.03.01

労働基準法で定められた「就業規則が必要なクリニック」とその内容

就業規則は、スタッフの労働条件や就業にあたって守ってほしい規律事項をまとめたものです。ルールを明文化して全スタッフに浸透させるとクリニック全体の統一感が増し、業務の質が向上します。また、「最低限これだけは守ってね」という一線を引くことにもなるので、労務トラブルを回避するという意味でも有効です。

就業規則はまた、万が一スタッフの就業態度が悪いことが理由でやむなく解雇しなければならなくなった場合にも役立ちます。就業規則がない場合、解雇をしても解雇権の濫用とみなされ、解雇が取り消しになってしまう場合もあるからです。スタッフとの関係を悪化させずに気持ちの良い職場環境を作るためにも、就業規則はあった方がよさそうです。

就業規則はこんなクリニックに作成義務がある

就業規則を必ず作成しなければならないクリニックは、「スタッフが10人以上いた場合」です。これは、労働基準法第89条によって定められています。  

気を付けなければならないのは、「スタッフ」の範囲です。カウントすべきスタッフは正社員だけでなく、パート職員もアルバイト職員も含まれますので注意しましょう。ただし、雇用元がクリニックではない派遣社員については、カウントする必要はありません。

就業規則に記載する内容とは?

就業規則に記載する内容は、以下の3つに大別されます。それでは一つずつ見ていきましょう。

絶対的記載事項

絶対的記載事項は、必ず記載する必要があると労働基準法で定められているもので、以下のような項目があります。

勤務時間(始業・終業時刻)、休憩時間、休日、休暇、交代制の勤務体制がある場合のローテーションの内容

勤務時間については、1日〇時間という記載ではなく、〇時から〇時までと具体的な時間を記載する必要があります。休憩時間や休暇は、時間や期間の長さや、取得する際の手順などを記載します。休暇は休日とは違い、労働義務を課さない日の中で、経営側の判断によって休みにする日のことを言います。

賃金、計算・支払いの方法、締日・支払い時期

通常のお給料についてだけでなく、遅刻や早退をした場合の給与の計算方法、各種手当の支給方法なども記載しましょう。また、締日や支払日についても、〇日と明確な数字を記載します。支払日が休日になってしまった場合は、休日の前営業日か、翌営業日かも記載しておくと丁寧です。

退職に関する事項(解雇の事由を含む)

退職する際、退職日の何日前までに申し出る必要があるか、定年退職の有無、解雇する際の条件などを記載します。

相対的記載事項

相対的記載事項は、全従業員に適用される事項がある場合に記載すべき内容で、以下のようなものがあります。

  • 退職手当の有無や適用範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項
  • 臨時賃金に関する事項
  • 最低賃金額に関する事項
  • 労働者に負担される食費、作業用品その他について(制服の管理などについての記載事項です。)
  • 安全・衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償、業務外の疾病扶助に関する事項
  • 表彰、制裁に関する事項
  • この他、労働者のすべてに適用される定めをおく場合は、その事項

※パートタイム勤務の方を雇用する場合、退職手当と昇給・臨時賃金に関する事項は、2008年から施行されたパートタイム労働法に基づき、絶対的記載事項に該当します。

任意的記載事項

任意的記載事項は、絶対的・相対的記載事項以外の内容のものです。労働基準法上でも決まりはなく、クリニックが任意で記載したい内容を盛り込むことができます。任意的記載事項に載せる一例として、以下のようなものがあります。

  • 企業理念、社是
  • 経営者からのメッセージ
  • 就業規則の適用範囲、施行年月日、改正施行年月日

作っただけでは意味がない!就業規則作成後の手続き

就業規則は、作成後に適正な手続きを経て、初めて効力を持つものとなります。就業規則を作ったら、以下の手順で手続きを行いましょう。

①意見を聴く

就業規則作成後は、その内容について労働組合へ意見を聴く必要があります。労働組合がない場合は、スタッフの過半数を代表する人を選出します。代表する人の選出は運営者が一方的に選出することは禁じられているので、スタッフの挙手や投票などで選びましょう。

②労働基準監督署に届け出る

労働組合あるいは過半数を代表する人から意見書をもらったら、就業規則を意見書と共に労働基準監督署へ提出します。


 ①・②の事項は、労働基準法第90条によって定められています。これらの手続きを踏むことによって、就業規則は初めて効力のある書類となります。

③就業規則を見やすい場所に置いておく

また、就業規則は、スタッフ全員に周知されなければならなりません。これは、労働基準法第106条で定められています。周知させるためには、以下のような方法を取ることをおすすめします。

  • カードや書面、冊子にして配布する
  • スタッフの作業スペースに提示する
  • 常時閲覧できるファイルやディスクに保存し、記録内容を随時確認できるようにする

 

参考:勉強会セミナー

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まとめ

就業規則の作成の際、時間短縮のために他クリニックの規則を転用する人は少なくありません。しかし、自身が運営するクリニックに則さないものである場合、トラブルの原因となってしまう危険があることも忘れてはいけません。また、労働基準法は随時改正されますので、法に反することのないよう法改正に合わせた見直しも必要です。

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