2017.01.17

クリニック開業前に絶対知ってほしい採用の“考え方”

採用の考え方

これから医院開業しようという先生方で、人を採用した経験のある方はほとんどいないと思います。そのため多くの先生方は、「求人を出して、条件が合う人がいれば採用する」というだけの「なんとなく採用」をしてしまっていることが多いようです。しかし、一度失敗すれば、その後の経営に大きな支障となるのが採用の怖いところ。今回は、これから人を採用しようとしている先生方に絶対知っていただきたい採用の「考え方」をご説明します。

こんな考えをしていませんか?失敗しがちな考え方

これから開業される先生方のほとんどは、採用に関して全くの未経験。そのため深い考えを持たないまま、採用活動に着手されている先生が多いように思います。


こんな考えをしていませんか?

  • スタッフの人件費はなるべく安くしたい(周辺地域の相場に合わせておけばいい)
  • 求人の広告などもなるべく安く済ませたい
  • 採用は縁であり、運。いい人が来てくれればいいな。
  • とりあえず、医療経験がある人は頼もしい。未経験を採用するなんて怖い。
  • 一緒に働いてみないと、どんな人かなんてわからない。

ひとつでも当てはまる先生は要注意。「どうしてダメなのか?」と思われた先生に向けて、次からは具体的にご説明していきます。

クリニックの採用に大切なのは、先生の「人材観」

開業には多くの資金が必要になるため、「人件費や採用費はできるだけ抑えたい」という気持ちはよくわかります。しかしながら、「安く、いい人材を」というのは本来、矛盾した考えです。

採用の「成功」とは、勤務し始めて2〜3か月で給料以上の働きをするスタッフを雇えたときでしょう。そのようなスタッフは、基本的に、採用後の教育で育つのではなく、教育では決して補えないもともとの「素材の良さ」を持っています。素材の良さとは、医療経験やスキルではなく、向上心、責任感、実行力、努力する力などです。

採用においては「人は育たない」と考え、このような素材の良い人材を見つけ出すことが大前提です。 とはいえ、医療業界全体が人材不足の中、いい人材を見つけ出すのは、実際にはかなり難しいことです。というのも、一般的に先生方が採用したい「仕事ができる経験者」というのは、そもそもが転職市場にほとんど現れません。「仕事ができる経験者」は周囲に期待され、現在の待遇ややりがいに満足していることが多く、そもそも辞めようとは思っていませんし、仮に辞めるとしても、たいてい次の職場が決まっていたりするからです。 基本的にどの業界においても「いい人材」とは常に売り手市場であり、よって本気でいい人材を採用したいならば、お金も労力も含めて全力をかけて採用に臨まなければなりません。

申し上げたいのは、「お金をかけさえすればいい人材が集まる」ということではなく、そのような意識、人材観を、先生自身が持っているかどうかということです。

採用費や人件費はいい人材を雇うための「投資」

一般的に「採用活動にかける費用やその後の人件費は安く絞った方が、経営は楽になる」と思われがちです。しかし、本当にいい人材を採用し、クリニックに勤め続けてもらうためには、それなりの人件費がかかるのは、当然のことなのです。

企業経営において伸び続けてきた企業というのは、良い人材を上手に補充し、なおかつそれを上手に教育してきた会社です。「まず先に投資をし、後から回収する」というのが経営の基本。本当にいい人材を採るためには、周囲に合わせるのではなく、処遇条件をよくしたり、レベルの高い人材にやりがいを感じてもらえる条件を先に作ってしまうということが大切です。

また、そのように投資リスクを背負って採用に臨んだ場合は、コストをかけず求人する場合に比べ、先生自身も採用活動に強い責任感を抱くようになります。自院に必要な人材はどのような人なのか、そういう人材を採るためにどのようなアプローチが適切かを、真剣に考えるようになるでしょう。そのこと自体が、採用活動の成功につながるのです。

採用活動は一度失敗すると非常に大きな損失を生みます(参照記事:クリニックの開業時、採用の失敗が生む巨大な損失)。採用に予想以上の費用がかかったとしても、採用に失敗した場合の損失に比べると、大きなコストではありません。もっと言えば、よい人材ほど確実な投資対象はないのです。

開業時に「経験者」を採用する落とし穴

スタッフの採用を考えるとき、先生自身が最初に思いつく「いい人材」とは、「即戦力ある経験ある人材」でしょう。 しかし、先に申し上げたように「仕事ができる経験者」は転職市場にはあまり現れてきません。費用や労力をかけず「採用は運だから、いい人が来てくれればいいな」という程度で求人をかけたところで、応募してくる人の多くは「仕事ができない経験者」です。

仕事ができない経験者は「即戦力」どころか、組織に「害」を与えることにもなります。 というのも、仕事ができない経験者に教えられた未経験者は、たいていの場合「この程度でいいんだ」と低いレベルで満足するようになります。せっかくいい人材だと思って採用した未経験者も、「仕事ができない経験者」に引きずられてしまい、全体としてレベルの低い組織になってしまうのです。

とくにクリニックを新規開業する場合、経験者を優遇して組織を引っ張ってもらおうと期待しがちですが、もしその経験者が「仕事ができない」経験者だった場合は、低いレベルで組織の「風土」ができてしまいます。そして、一度できた風土は簡単には変えにくいのです。開業時に「経験者」採用ばかりに気をとられると、重大な失敗となりかねないのです。

経験よりも「価値観」重視の採用を

上で申し上げてきたように、「仕事ができる経験者」というのは先生が思うほど転職市場にはいませんし、「経験」にばかり着目していると、組織の「害」となる可能性も出てきます。

人を採用するときに重要なのは、経験やスキルよりも、その人材の「スタンス」です。 スタンスとは、自立心や成長意欲、責任感、価値観など様々なもので形作られていますが、 なかでもクリニック経営において重要なのは、「価値観」です。 価値観とは「何を優先するのか」という、その人のなかでの「物事の優先順位」と言い換えることができます。価値観はすべての結果(成果)の土台となり、スキルや経験を生かせるかどうかは、その価値観次第といっても過言ではありません。

職場にはそれぞれに価値観がありますが、クリニックのように小さい組織の場合は、先生の価値観がそのまま組織の価値観になります。先生の価値観と働く人の価値観が一致していないと、仕事の進め方や取り組み姿勢に違いが生じてしまったり、先生が重要と感じていないことに対して力を注いでしまったりという事態が起こります。そうすると先生の負担は増加し、その人自身も働くモチベーションを維持できなくなってしまいます。

したがって、採用時点では、「先生の価値観と応募者の価値観が一致しているか?」を見極めることが大切です。もう少しわかりやすく言えば、「先生がその人(応募者)に、職場において最も重要視してほしいこと」と、「応募者がその職場(仕事)で重要視しているもの」が一致しているかどうかです。 となると、何よりも大事なのは「先生自身が何を重要視しているのかを明確に把握していること」です。

 

参考:勉強会セミナー

開業を成功させる一番のポイントは、事業主となる先生が経営者として成長することにあります。経営者としての考え方、視点、判断の方法を学ぶための勉強会です。

>クリニック開業基礎講座

>クリニック継承基礎講座

>スタッフ採用・育成基礎講座

>広告・集患基礎講座

>開業医の為の将来設計講座

まとめ

採用に関してなんとなく「スキルや経験のある人を採用しておけばいいや」と考えるのではなく、「スタッフにはこういうことを重要視して働いてほしい」という人物像をしっかりと描いておくことが採用で失敗しないためのカギとなります。そのことが、自院が目指すクリニックを実現する近道になります。具体的に、価値観の一致をどのように見極めるかどうか、面接のポイントなどは、また別の機会にお話ししたいと思います。

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