2017.02.20

クリニック開業した後の疑問!儲かってもお金が不足する原因である減価償却費とは?

クリニックの会計の中でも特に理解しにくいのが、「減価償却費」ではないでしょうか。
今回の記事では、この「減価償却費」について詳しく説明いたします。

減価償却とは「一度に費用にしないで、数年に分けて費用にする」ということ

そもそも一度に費用にしないのは理由があります。

税金を計算するときの所得金額は投資した金額をどのぐらい回収できたかの計算だからです。そのために、原則は使用可能期間が1年以上の資産を投資した場合、年間で回収すべきコストを計算します。その計算を減価償却の手続きにより、税法で定めた使用可能期間に分けて費用に計上します。その使用可能期間を耐用年数といいます。

この減価償却を理解するためには、この制度が採用された背景を知ることが必要不可欠です。その背景とはクリニックを開業すれば永遠に継続できることが大前提です。現実離れした考え方ですが、少なくて廃棄をゴールに開業しませんよね。継続するということは、設備投資すれば数年の診療報酬の収入に貢献します。だから、店を閉めるのを前提とする縁日の屋台のように、収支の計算よりも年間の厳密な採算の計算に重点が置かれています。

そのコストを計算する方法として、固定資産については減価償却という手法が採用されているのです。

例えばどんなものが減価償却されるのか?

減価償却の対象になる固定資産を減価償却資産といいます。

減価償却資産とは使用年数に比例して価値が減少する固定資産です。つまり、中古になると売却価額が下がるものです。ということで、土地ように使用しても売却価額が減少しない固定資産は減価償却資産には該当しません。

その減価償却資産すべてが数年に分けて費用に計上する訳ではありません。少額のものまで厳格に計算しないで一度に費用に計上するのは、事務的負担を考慮しているためです。具体的には、次の金額以上の固定資産が減価償却の対象になります。

  • 青色申告は30万円以上の減価償却資産
  • 白色申告は10万円以上の減価償却資産

例えばクリニックの場合では

  • 物件を購入した場合の建物
  • 物件を借りた場合の内装工事費用
  • レントゲンなどの医療機器
  • ソフトウェア

などが減価償却資産の対象となります。

減価償却の耐用年数は法律に決まっている

減価償却は数年に分けて費用に計上しますが、税法ではその分を経費に落とせます。それなら、耐用年数の短い方が節税効果はあります。例えば、900万円の減価償却資産の耐用年数が3年と5年では経費に落とせる金額に差が出ます。

  • 耐用年数が3年なら、年間の経費は300万円
  • 耐用年数が5年なら、年間の経費は180万円

上記の違いにより、経費の差は120万円になります。だから、減価償却資産の種類別に耐用年数を税法で定めています。つまり、クリニック側で耐用年数を勝手に決めることはできません。 その減価償却資産の耐用年数は新品と中古では決め方が異なります。

新品

種類別に税法で定めた耐用年数をそのまま適用します。

これを法定耐用年数といいます。その法定耐用年数は種類別に全国の使用可能期間の平均値で決めています。

中古

法定耐用年数をベースに耐用年数を短縮します。算式は次の通りです。 耐用年数=(法定耐用年数-使用年数)+使用年数×20% 例)法定耐用年数15年、使用年数10年 耐用年数7年=(15年-10年)+10年×20% 計算の結果、中古の耐用年数は新品より倍以上の8年短くなります。

減価償却は現金預金の収支と無関係、だから現実の経営の数字にギャップがでてしまう

そもそも現実の経営の数字とは現金預金の収支です。支出より入金が大きくないとクリニックは成り立ちません。ところが、所得金額の計算は違います。次のケースを例にしましょう。

例)
・診療報酬1,000万円
・経費200万円(減価償却費を含む)
・減価償却資産の購入800万円
・収支金額0円
・所得金額800万円(診療報酬-経費)

現金預金の収支ベースなら手元にお金がないので、儲かった感覚はありませんよね。しかし、所得金額は800万円。つまり、収支金額は0円なのに税金が発生します。しかも、税金を納めると現金預金の収支はマイナスです。その原因は減価償却資産が一度で経費に落とせないからです。それでも減価償却が存在するのはクリニックが永遠に継続することが大前提になっているためです。そのために長い目で見れば、いずれ現金預金の収支は「マイナス→ゼロ」になります。

減価償却を経営に活用する

減価償却資産は一度に経費に落とせませんが、購入した年度後には経営に活用することができます。経営に活用するとは年数に分けて経費に落とせるため、支払いがないのに節税分のお金が手元に残すことです。

クリニックを開業した年から前倒しでお金を残すためには、減価償却の計算方法を選択する必要があります。具体的には定額法ではなく、定率法を選びましょう。この2つの違いを具体例で紹介します。

例)減価償却資産1,000万円、耐用年数10年

①定額法

耐用年数に応じて、毎年同じ金額の減価償却費100万円を経費に落とします。

②定率法

  • 購入した年 200万円=1,000万円×0.2(償却率)
  • 2年目 160万円=(1,000万円-200万円)×0. 2

つまり、減価償却費を前倒しで計上するために、経費に落とす金額は使用年数に反比例するのが特徴です。 ※償却率とは耐用年数に応じて税法で定められています。定率法の場合は現在価値(帳簿価格)に償却率をかけて減価償却費を計算します。現在価値は毎年低下するので経費落とす金額が使用年数に反比例します。

 

参考:勉強会セミナー

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まとめ

減価償却とは投資した金額のうち回収すべきコストの目安を計算する制度です。その制度を税法上の経費の基準にしています。その減価償却費は耐用年数で複数年に経費を配分することで現金預金の収支とのギャップが生じます。そのために減価償却資産を購入した年は所得金額より現金預金の収支は少なくなります。翌年からはお金を負担しない経費である減価償却費を計上するため、節税分だけ手元に現金預金の収支が残ります。

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