2017.02.17

クリニックの開業時期、ベストなタイミングはいつ?

クリニックの開業を決めたら、気になるのは「開業時期をいつにすればよいか」ということです。医局との関係などから、クリニックの開業は春先と秋口の年2回に集中することが多いようですが、経営戦略上、必ずしもそれがベストだとは限りません。今回は、クリニックにとってベストな開業時期とはいつなのかを考えてみたいと思います。

クリニックの需要には季節変動がある

開業時期の設定にあたって意識したいのは、一部の診療科を除き、クリニックの需要には季節変動があるということです。内科の場合は風邪やインフルエンザが流行する秋から冬、耳鼻科の場合は花粉の増える春先、皮膚科の場合はあせもや虫さされが増える梅雨から夏が、需要が増える時期にあたります。

「毎年恒例ともいえるニーズに、わざわざ開業を合わせる必要があるの?」と思われる先生もいらっしゃるかもしれません。では、この季節変動を考慮して開業時期を設定することに、どのような意味があるのでしょうか?

季節変動を考慮するメリット

開業時期をクリニックの需要が増える時期に設定することには、一般的に次のようなメリットが挙げられます。

需要期にあわせた開業のメリット

  • 需要に合わせた開業は告知のインパクトが大きく、地域における早期の認知度アップを期待できる。
  • 今後の資金繰りが不安な開業時に初診中心の患者が多く来院すれば、運転資金に余裕が生まれ、診察に安心して専念できる
  • 開業当初に来院が多いほど、勤め始めたばかりの職員に「人気のある診療所で働いている」という実感を持たせることができ、モチベーション向上に寄与する

勤務医時代には実感がわかないものですが、開業すると、家賃や人件費、機器購入に要したローンなど、月々のランニングコストが予想以上に負担に感じるものです。滑り出しにつまずくと、その負担が心理的に大きなストレスとなってしまうことも少なくありません。

開業時は不安要素をできるだけなくし、順調な滑り出しとなるように最善を尽くすべきということからも、開業時期は需要期に合わせたほうが望ましいでしょう。

ベストは需要の最盛期の2か月前 診療科目別の開業時期設定例

とはいえ、需要期にこだわりすぎるあまり、職員の接遇など院内の体制が不十分な状態のまま開業を前倒した結果、患者様からの第一印象を悪化させてしまっては、本末転倒です。 そのため一般的に、開業時期は、需要の最盛期の2か月程度前にすることをお勧めしています。この2か月間を利用して、院内のインフラをしっかり整備し、患者様の増加にも対応できるようにスタッフをトレーニングしておくのです。いわば、先生自身とスタッフのトレーニング期間といえます。参考までに、これらを考慮した診療科目別のベストな開業時期の一例は次の通りです。

<内科の場合>

風邪が流行する10〜12月に向けて、さらに医師会を通してインフルエンザの予防接種を行えるようにするため、9〜10月の開業を目指します。

<耳鼻科の場合>

患者が多いスギ花粉のアレルギー時期は通常2月中旬以降。開業時期は前年の11月頃がベストでしょう。

<皮膚科の場合>

夏場にプールや海での直射日光による日焼けなどの症状で患者の増加を見込むことができるため、準備期間も含めて6月頃の開業が望ましいでしょう。

<整形外科の場合>

冬の間は家にいることが多くなるため、怪我が減りがちです。少し活動的になる春先が開業時期としては適しています。

開業時期の設定で気をつけたいその他のポイント

以上、需要に合わせた開業のメリットについて述べてきました。特に理由がなければ、需要に応じて開業時期を設定するほうがベターです。

しかしながら実情は「すでにテナント料が発生していて開業時期を遅らせたくない」など、個別の事情が存在してしまうことも多いもの。需要期にこだわりすぎて他の経済上のデメリットが生じないか、全体を見通し、よく検討することも必要です。

また、少し話が逸れますが、開業時期については、現在の勤務医としての仕事をきちんと引き渡す時間を確保し、円満退職が可能なタイミングを見計らうようにすることも大切なことです。法令では最低14日前に退職の意思表示をすればよいことになっていますが、そのような直前の申し出では現場が混乱してしまうのは、先生自身がよくご存知だと思います。意外に狭い業界ですから、「仁義を欠いた医師とのレッテル」を貼られることなく、開業後も医療関係者の応援が得られるように、十分な期間を考慮したうえで開業時期を設定しましょう。

まとめ

以上、需要期の開業には複数のメリットが期待でき、可能な限りそれに合わせたほうが望ましいでしょう。しかし、様々な事情から、最終的にはケースバイケース。事業の継続性を重視し、地域に長く愛されるクリニックになるよう、長期的な視野を持って適切な開業時期を見極めるようにしたいものです。

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