2017.01.16

クリニックの節税対策は開業前が勝負~開業時の税務関係の注意点~

開業前節税

クリニックを開業するにあたり、開業準備中にも様々な経費がかかってきます。しかし、そのことを知らず、本来開業経費として処理できるものを先生のポケットマネーで支払ってしまっているケースも少なくありません。
今回は、開業準備中から抑えておくべき節税の基本をお伝えいたします。

開業時の税務関係の注意点

クリニックを開業するときに開業医が税務関係で念頭に置くべきポイントはいかに節税するかにかかっています。

節税には3つの意味があります。

  • 同じ業績なら所得金額を圧縮して税金の支払いを抑えること
  • 資金繰りを有利にすること
  • 税務調査による追徴課税を最小限に抑えること

所得金額を圧縮する戦略

開業するときに必要な税務関係の届出をするときに、クリニック経営に有利にする点に尽きます。主なものは次の通りです。

個人事業の開(廃)業等の届出書の提出が節税対策の土台である
  • 提出期限は開業後1月以内

まず、この届出書を提出しないと事業としてクリニックを経営するという意思表示をしたことになりません。すると、雑所得扱いされる可能性があります。事業所得でないと、青色申告による節税ができません。実は節税対策の土台なのです。


節税対策の基本!青色申告を申請しように関する届出書を提出しよう

青色申告承認申請書と青色事業専従者給与の提出期限は開業した日によって異なります。

  • 1月15日までに開業した場合は3月15日
  • 1月16日以降に開業した場合は開業後2月以内

減価償却方法は定率法を選択しよう
  • 減価償却資産の償却方法の届出書の提出期限は確定申告書の申告期限である開業した年の翌年3月15日

医療機器などの固定資産を前倒しで経費に落とすためには、減価償却方法は定率法を選択する必要があります。


資金繰りを有利にする戦略

源泉所得税の納付期限の延長制度を活用して、資金繰りと事務処理を優位にしよう

納期の特例とは従業員の給与や税理士報酬などから天引きした源泉所得税の納付期限を延長する制度です。原則は天引きした月の翌月10日ですが、次のように納付期限が延長されます。

  • 1月から6月分の源泉所得税は7月10日
  • 7月から12月分の源泉所得税は翌年1月20日
  • 提出期限は適用を受ける月の前月末日
  • 特例を受ける条件は従業員10人未満のクリニック

追徴課税を最小限に抑える戦略

端的に言えば、クリニック経営に明るい税理士を選ぶことに尽きます。普通の事業と違って、税務の内容が特殊だからです。したがって、対応できる税理士は限られます。

実際に税理士のミスで余分に税金を支払っていたクリニックがあります。そのミスとは小規模のクリニックは社会保険診療報酬をベースに概算で計算できますが、それを知らずに他の業種と同じように実額で計算していました。


開業前の準備費用も経費になる

準備費用は節税対策の切り札

経費の原則は「事業に関連するもの」ですが、開業前の準備費用も含まれます。特徴的なのは通常の費用と違って、資産計上も認められているため、開業した年でも翌年以降でも好きなタイミングで経費に落とせます。

つまり儲かったとき、累進課税の適用税率が高い年に経費に落としたほうが節税効果は抜群です。たとえば、開業準備費用が100万円でも、適用する所得税率5%と45%では、節税額に40万円の差が出ます。

準備費用を経費に落とすための条件

支払った領収書などの書類を保存することに尽きます。何よりも証拠を残すことが大切です。

経費に落とせる準備費用の範囲

  • 開業する前の家賃
  • 診療場所の物件を借りるための不動産仲介手数料
  • 広告宣伝費
  • 消耗品
  • ガソリン代、電車代、高速代などの交通費
  • 開業手続費用 など

経費に落とせない準備費用

  • パソコンなど10万円以上の消耗品
  • 診療場所の物件を借りるための不動産仲介手数料
  • 物件を借りるための敷金、礼金
  • 医師会の入会金

医師会の入会金について、少し補足が必要ですね。正確には繰延資産といって、5年間で均等に必要経費に落とします。そのため、準備費用として一括で経費に落とせません。その理由は医師会に入会して1年を超えて所属するのが大前提です。税法上では所属期間を5年間と考えています。しかし、入会金が20万円未満なら、特別に一括で経費に落とせます。したがって、準備費用にカウントされます。

書類の保管のコツ

税法では領収書、請求書、納品書、契約書などの種類は7年間の保存義務があります。膨大な量なので、保管するのに工夫が必要です。

工夫するメリット

税務調査の対策になる

税務調査があれば後から探すことになります。そのとき、求められた書類をすぐに提示するメリットは調査官の心証をよくなる点です。反対に心証を悪くすれば調査は厳しくなることが予想されます。すると追徴課税のリスクが高まるだけではなく、税務調査の時間が長くなります。


保管スペースが確保できる

書類の保管スペースは家賃というコストです。したがって、診療報酬と関係ない保管スペースを減らすことに越したことはありません。


領収書・レシートを保管するポイント

特に領収書・レシートは枚数が多くなります。ということは、整理整頓しないと後から探すのが大変です。そこで保管するのに他の書類よりも工夫が必要です。ノートなどに時系列に下から貼るのがポイントになります。また、領収書は、裏に内訳が分かるようにメモ書きしましょう。税務調査で領収書の発行元へレシートに記載されている内訳の照会をする手間を省くためです。

電子帳簿の検討を視野に入れよう

そもそも電子帳簿とは紙媒体ではなく、書類をコンピューターで保存する制度です。その電子帳簿の保存が平成29年からより便利になります。特にスマートホーンのアプリで領収書の保管が認められます。検討するときは顧問税理士に相談しましょう。

開業医なら知っておきたい青色申告とそのメリット

青色申告とは

会計帳簿を付けて、それを元に決算書の作成、確定申告をする制度です。その会計帳簿とは複式簿記のルールに基づいたものです。現在に当てはめれば、取引内容を会計ソフトにインプットすることです。

メリット

優遇税制と金融機関からの融資に有利になることの2点です。

主な優遇税制
  • 青色申告特別控除65万円ができること

お金の負担がない経費と同じです。

  • 30万円未満の消耗品が全額経費に落とせる点

白色申告のように原則通り10万円未満が経費に落とせるラインと違って、30万円未満まで範囲が拡充されています。

  • 青色事業専従者給与が経費に落とせる点

個人事業主のクリニックは世帯課税が原則ですが、配偶者などの個人単位での課税が認められる制度です。つまり、所得金額を分散することで累進課税の適用税率が抑えられます。

  • その他にも特別償却など前倒しで経費に落とせます。

融資に有利に働く理由

創業融資以外の融資を申し込むときには確定申告書の提出が求められます。そのときに融資担当者が見たい資料は損益計算書と貸借対照表です。2つの書類は青色申告しか具備していません。

 

参考:勉強会セミナー

開業を成功させる一番のポイントは、事業主となる先生が経営者として成長することにあります。経営者としての考え方、視点、判断の方法を学ぶための勉強会です。

>クリニック開業基礎講座

>クリニック継承基礎講座

>スタッフ採用・育成基礎講座

>広告・集患基礎講座

>開業医の為の将来設計講座

まとめ

クリニックの節税対策は開業前から始まっていることが分かります。開業費や青色申告の申請はもちろん、書類の整理の仕方の方向付けも開業する前に行います。そのために開業前に医業経営に明るい顧問税理士を確保するか否かが節税対策には最も大切なポイントになります。

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