2017.01.09

クリニックの成長に不可欠なスタッフの増員と人件費の考え方

人件費の考え方

開業したクリニックが軌道に乗り患者数が増えると、スタッフの採用や増員など、人件費にまつわる悩みが多くなります。
 
大半の院長が、高い人件費は悪いことと考え、少しでも人件費を削減しようとしますが、人件費を削減すると経営を悪化させる原因になるのはご存知でしょうか?
 
その理由は人件費を削るとスタッフのモチベーションや新規採用者の質が低下し、クリニックの評判に響くからです。
 
高額に思える人件費こそ、クリニックに最も重要な費目なのです。
このことをふまえ安定した経営と強いクリニックをつくるための人件費とスタッフの考え方を解説いたします。

クリニックの成長は人で決まる

医療現場の人件費が他業と比べ高額な理由

産業は主に3つの種類に分けられます。  

1つは業務の大半が人の手によって行なわれる労働集約型産業、もう1つは生産設備が資本になる資本集約型労働、最後に研究開発などの知的集約型労働です。   

医療は労働集約型産業に分類されます。    

そのため他の産業よりも、人の手が必要になり、必然的に人件費が高額になります。そのことを念頭に置き、医療産業の人件費が高額になるのは避けられません。

人件費の削減はクリニックを経営難に陥れる

経営状態の見直しをする際、多くの院長が、経費、なかでも人件費を削りたいと考えます。人件費は金額が大きいですから、削減すると劇的に経費も減りますが、これは経営の健全化にとって逆効果なのです。    

その理由はクリニックがとても人出が必要となる産業である事と、繁盛するほど患者数が増えるため、スタッフを増やす必要があること、優秀な人材ほど高い賃金で働くことなどがあげられます。  

人件費が高いからといって、大勢の患者を少ない人数のスタッフで対応させたり、クリニックの採用基準にみたない能力の低いスタッフを採用してしまえば、患者離れが起こり、経営が不安定になる原因を作ります。

優秀な人材は高給だと割り切って募集する

人件費を出来るだけおさえようと、新規採用を行なう際に地域の給与相場の賃金を条件として提示する院長がいますが、良いスタッフを採用したいと考えるのであれば、これも避けた方がいい採用方法です。    

なぜなら医療業界も人出不足が蔓延しているため、優秀な人材は取り合いの状態です。  

優秀な人材は自己評価も高く、モチベーションも高いことが多いため、安い賃金のクリニックには、応募しないことがほとんどです。

人件費が高くなるのは喜ぶべきこと

人件費が上がるのはクリニックが繁盛している証拠です。
沢山の患者が訪れるからこそ、スタッフが必要になり、優秀なスタッフを雇用するために人件費を上げることが必要になります。    

そのため、人件費があがっていることは、クリニックに優秀な人材が定着し増えている証拠なのです。

人件費に投資するクリニックが強い理由

スタッフは患者の評価を左右する

クリニックの評価を決めているのはスタッフの対応です。医療現場では診察の他に、患者に対するホスピタリティや気遣いなど、細かい対応が求められます。    

その一つ一つを担うのがスタッフであり、対応そのものがクリニックの評価の一部となります。  
クリニックの評判を落とさないためにも、スタッフの質に気をくばり、出来るだけ優秀な人を採用することが大切です。

強いクリニックはスタッフの組織力が高い

人件費をおさえている先生に共通する事は「これ以上仕事をお願いすることは申し訳ない」と考え、必要最低限の仕事しか依頼しないことです。これでは、スタッフは事務なら事務、看護師なら看護師と必要最低限の仕事しかしない傾向にあります。  

反対に人件費を積極的に払っている先生は、新人の教育や、日報報告、課題図書の実施、接遇強化担当、採用担当、定期的なミーティングなどスタッフにさまざま仕事と役割を与えています。

スタッフ自身も他院に比べ給与を多くもらっているとわかっているため、最低限やるべき業務とは別の仕事も主体的に取り組むためスタッフのレベルの必然的に高くなっていきます。また、朝礼やミーティングの企画・進行や、採用の求人手配、求職者への連絡、合否連絡などの仕事をスタッフに委譲しているため、院長が本来集中して考えるべき診療や経営について考える時間をとることができるようになります。

このように、人件費を積極的に払い、優秀なスタッフを集めると、スタッフの責任感が高まり、モチベーションアップや組織力の強化につながります。

組織力は優秀な人材を教育することで強くなる

優秀な人材は、業務を通じて学ぶ力も高いため、院長の高い業務水準にも応えることができます。長く勤めてもらえばもらうほど、院長にとって有益な人材に成長し、クリニックに大きな利益をもたらします。

人件費を20%上げる場合の必要売り上げの算出法

人件費が年間1300万円のケース

人件費をアップすると言っても、その投資は患者数がどの程度増えれば回収できるのでしょうか?年間1300万円の人件費を払っているクリニックが仮に「スタッフの増員」「優秀なスタッフへの賞与増額」などで20%人件費を増額した場合で考えてみましょう。

A内科クリニックの場合

・年間人件費1300万円
・平均診療単価5800円
・月の平均診療日数21日
・院外処方(利益率90%)


この状態から、優秀な人材確保のために人件費を20%増やすと人件費は年間1560万円位なります。 年間260万円の増額です。 これから増額した人件費を回収する患者数を算出すると

5800円×0.9(利益率)×21日×12か月×2人=263万880円 となり、

1日平均2人患者数を増やすことで、年間260万円の増益が見込めます。
つまりスタッフの給与を20%UPさせても、1日2人の患者が増えれば、増額した人件費を回収できるのです。

優秀スタッフを維持するには給与アップだけでは不十分

優秀なスタッフは正当に評価し、腐らせない

これから採用を考えている院長には、優秀なスタッフの確保に向け、給与を多めに提示することをおすすめします。    

一方、既存スタッフがいる場合は、優秀なスタッフに正当な評価することをおすすめします。 クリニックの場合、どうしても評価に差をつけず、貢献度に関わらず一律な評価をしてしまいがちです。しかしそれでは、本当に優秀なスタッフはきちんと評価される別の職場を探すことになります。 そうならないためにも、賞与の前などに個別面談を行うなどし、一人ひとりきちんと評価してあげることが大切です。  

正当な評価と適切な賃金改定は、優秀な人材のモチベーションを保つ上で必須です。

出来ないスタッフは評価しないことも大切

残念ながら既存スタッフに芳しくない方がいる場合、優秀なスタッフとは差をつけて、給与は現状維持とすることを、お勧めします    

その理由は全員一括で賃金を上げてしまうと、正当に評価されていないと感じた優秀なスタッフのモチベーションが下がるためです。    

賃金の値上げでは、優秀なスタッフと出来ないスタッフをきちんと区別することで、人材の質を保つ配慮が大切です。

強いクリニックには優秀なスタッフが集まる

地元の信頼を得ていたり、診療圏で独自のポジションを確立していたりする強いクリニックには、優秀なスタッフが集まります。優秀なスタッフをまとめていることで、院長の人物評に大きなプラスになりますし、診療圏内のクリニックのポジションも安定します。

 

参考:勉強会セミナー

開業を成功させる一番のポイントは、事業主となる先生が経営者として成長することにあります。経営者としての考え方、視点、判断の方法を学ぶための勉強会です。

>クリニック開業基礎講座

>クリニック継承基礎講座

>スタッフ採用・育成基礎講座

>広告・集患基礎講座

>開業医の為の将来設計講座

まとめ

スタッフはクリニックの評価を決める重要な要素です。そのため人件費を削減したいと思ったら、逆に思い切って増資し、より質の良い優秀な人材の確保に努めることをおすすめします。
 
さらに既存スタッフに優秀な人がいる場合、差別化して昇給させることでモチベーションと継続的な勤続につなげることができます。
 
優秀なスタッフが一度辞めてしまうと同等の人を捜すのは大変です。出来る限り勤続してもらえるように、正当な評価を行い、安定した経営につなげましょう。

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