2017.02.27

クリニックでスタッフの副業は禁止できる?

クリニックを運営する上で、スタッフの就業状況の管理は院長の頭を悩ませることのひとつです。就業中の勤務態度は管理できても、副業をしているスタッフがいることが判明した場合はどのような対処をすればよいのでしょうか。

スタッフの副業の禁止は難しい

クリニックで就業してもらっている以上、クリニックの業務に注力してほしいと思うのは院長なら当たり前のことかも知れません。しかしながら、副業をせずクリニック一本で働けと命令することは、実際には難しいことでもあります。

本業に支障がなければ解雇は難しい

労働基準法では、スタッフを雇う側が副業を禁止できるという記載は一切ありません。さらに、労働契約法第16条には「本業に支障をきたしていない限り、副業を理由に解雇することはできない」という記載まであるため、副業しているというだけで解雇することは難しいのが現状です。

実際、医師であっても複数のクリニックをアルバイトで掛け持ちしている方は少なくありません。副業は医師法でも規制がないことから、法律上では副業しても問題はないことになっています。

スタッフが副業をすることで懸念されること

しかしながら、本業とは別の仕事を掛け持ちすることは、これからご説明するような問題が発生する可能性があります。

本業への影響

フルタイムで本業をしているにも関わらずその前後で副業を行うことは、体力的に厳しい場合があります。すると、本業で遅刻や欠勤が増加したり、業務内の居眠りやミスが多発したりと、業務に支障をきたす恐れがあります。特に、医薬品の取り違えや使用量を間違えるなどが起こると患者の生死を左右させる重大な問題へ発展してする危険性もありますので、うっかりミスは絶対に避けたいところです。

情報の漏洩

看護師や事務員の中には、同業種間で仕事を掛け持ちするケースが大変多くあります。そこで問題になるのが、クリニック間での情報漏洩です。

働く人を介して、クリニックに通ってくださる患者さんの情報が流れてしまう、あるいは、クリニックで教えた独自のノウハウが他のクリニックへ流出するというケースは、非常に多くあります。患者の情報は漏らさないのが常識だという思い込みは捨て、漏洩を避ける方法を講じることが大切です。

信頼の欠如

スタッフがどのような理由で副業をするにしろ、その事実を間接的に知ることになってしまうのはあまり気分のいいものではありません。本業に専念してほしい院長としては、スタッフへの信頼が低くなってしまう可能性もありますね。

副業を理由に解雇できるケース

副業によって起こりうる様々な問題は、院長としては予め排除しておきたいものです。労働基準法や医師法などで副業を禁止することはできませんが、以下の義務を違反した場合に限り、スタッフを解雇することが可能です。

労務提供義務違反

仕事に従事するスタッフは、賃金をもらう代わりに常識の範囲での労務提供が義務付けられています。そのため、副業が理由で本業の仕事で居眠りやミスを多発するなど業務に明らかな支障が出た場合は、労務提供義務違反として解雇させることができます。

競業避止義務違反

競業避止義務とは、同業種間で取締役などの職務掛け持ちを禁止する条例です。例えば、クリニックの事務局長が、他のクリニックの局長になるなどの行為です。クリニックでの事例はあまり聞きませんが、このような事実が発覚した場合は、解雇できます。

秘密保持義務違反

また、副業によってクリニックの機密情報が漏れた場合も解雇できます。個人情報の取り扱いには厳しい制限がある上、医療従事者が患者や院内の大事な情報を外へ持ち出すことは、常識的に考えてもおかしな話です。

漏洩した情報が、漏洩すべきものではないと判断された場合、裁判でもクリニックの方が優勢です。ただし、院内で機密情報の取り扱い方がゆるかった場合はその限りではない場合もありますので、日頃から厳重な取り扱いを徹底することが大切です。

副業禁止は就業規則に明記し抑止する

スタッフの副業を、どのようにすれば良いかという悩みはつきませんが、副業をはじめからしないでほしいという考えがある場合は、就業規則に明記して阻止するという方法が有効です。ただし、スタッフの家庭事情などでどうしても副業する必要が出てくる場合も考慮しておくと丁寧です。

例えば、就業規則では「原則として副業を禁止」し、やむを得ず副業しなければならない場合は、申し出てもらうという方法です。このような方法を取り入れれば、スタッフとしても副業はしないと納得した上で働くでしょうし、隠れて副業を行った場合は、規則違反として罰することも可能になります。

 

参考:勉強会セミナー

開業を成功させる一番のポイントは、事業主となる先生が経営者として成長することにあります。経営者としての考え方、視点、判断の方法を学ぶための勉強会です。

>クリニック開業基礎講座

>クリニック継承基礎講座

>スタッフ採用・育成基礎講座

>広告・集患基礎講座

>開業医の為の将来設計講座

まとめ

スタッフの副業を管理することはなかなか大変ではありますが、就業規則にて副業を管理できる環境を整えておくことがとても有効であることが分かりました。また、各種労務義務などに違反した場合は、その違反状況や勤務態度などの記録を保管しておき、解雇に値することが証明できるようにしておくことも大切です。その場の怒りにまかせて解雇してしまうと不当解雇されたとして訴えられ、損害賠償金の支払いを要求される上、クリニック自体の信用を落としかねない事態へ発展してしまう可能性があります。

  • 2018年度開業基礎講座受付中!
  • 2018年度経営基礎講座受付中!