2017.02.06

どこまで信用していい?診療圏調査の信憑性と注意点

開業にあたり診療圏調査データを見たことがある方は多いのではないでしょうか。思い描いている理想の経営をするためにも参考にしたいデータです。しかし、一体どういうもので、どれくらい信用していいのかわからない方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は診療圏調査がどういうものなのかご紹介します。

そもそも診療圏調査とは?

診療圏調査とは開業予定地の診療圏内における人口動態や人口分布に受療率をかけて見込み患者数を算出したものです。人口動態や人口分布には国勢調査の情報、受療率は厚生労働省の患者情報が使われることが多いです。

また、診療圏の設定は都市部であれば1km以内、郊外や地方など車移動の割合が高くなると3kmのように仮定されることが多いようです。

さらに、開業予定クリニックの診療科によっても変わります。
内科といった競合が多そうなものは短め、泌尿器科、精神科と専門的なものになるほど長く設定されます。もし、診療圏内に競合となるクリニックがあった場合は、その分だけ患者数に補正をかける必要もでてきます。 診療圏の仮定ができたら、開業予定地から仮定に応じた同心円状の範囲について考えます。

このとき、河川や線路などの通行の障害にあるものが存在する場合は、それより先を除外して考えることもあります。実際にもそのような障害を越えて来院する患者さんはそういないと言われています。

診療圏調査の信憑性はどのくらいある?

国勢調査の情報や受療率データは公開されているので、自分で見て計算することも可能です。さらに、販売されている診療圏調査ソフトもあるので、作成者の意図を反映させたものを作成することも可能です。

例えば、開業コンサル会社や不動産会社は、開業しようと考えている先生には是非とも開業していただいて契約を結んでもらいたいと考えます。そのため、患者数が多く見えるように手を加えた資料を提示することで、開業を促そうとする会社もあり注意が必要です。

問題は仮定を置いた部分をどうするかです。診療圏範囲の設定や競合先の数によって見込み患者数は全く変わってきます。信頼できる診療圏調査データかどうかはこの設定がどれだけ現実的なものにできるかどうかです。コンサルタントに依頼する場合は、この仮定の部分をうまく処理できる人かどうかを見極めることが大切です。

きちんとその土地のことを調査しており、長年の経験から導き出された補正がロジックとしてしっかりしているのか、納得できるものであるのかをきちんと判断しましょう。

診療圏調査通り患者さんは来院するのか?

診療圏調査で算出される見込み患者数は診療圏における人口に受療数をかけたもので、とても素直で単純なものです。地元住民の口コミによる評判や競合先との競争力の差といったものは含まれていません。

最近ではインターネットによる情報で受診する診療機関を決める人も増えており、診療圏調査通りということがますます難しくなっています。そういう意味では、診療圏調査データは開業してやっていくにあたり十分な潜在的患者数が見込めるかどうかの判断材料に使うのがいいかもしれません。

診療圏調査を実施するうえでの注意点(ここで数字の乖離が起こる)

では、診療圏調査のデータをより信頼できるものに補正するためにはどうすれば良いのでしょうか。一言でいうとより入念な調査を行うしかありません。ポイントとなるものを4つ紹介するので参考にしてみてください。

競合調査をしっかり行う

基本的に診療圏調査では同じ診療科の競合先は挙げられているはずですが、すべてがその診療科をメインでやっているとは限りません。メインでやっていない場合は競争力で大いに優位に立てる可能性があります。特に専門性が高いものであれば、他に選択肢がないので多少不便でも来院に至るケースは多いです。

また、開設者が高齢のクリニックの場合は競合先としての候補に入るほどではすでになくなっている可能性もあります。この場合は、後継者がいるのか調べた上で競合先として残すかどうかは慎重に考えるべきです。

さらに、有名なクリニックあるいは医師、評判がいいところ、通院しやすいところなどは競争力を考える上で非常に重要です。最近では各都道府県のWebサイトに各地域の医療機関を医療実績とともに掲載している場合があります。このような情報を有効活用することが成功につながります。

人口の動向

最近では再開発される地域も多いので、開業予定地の都市計画についても把握しておきましょう。

計画の内容によっては人口の動向を大きく左右します。今後10年ほどのものは市役所に行けば知ることができるので、ぜひ利用しましょう。

特に交通網の整備やショッピングモール、ビジネス街などの構想が盛り込まれていた場合は、人の流れが大きく変わる可能性があります。開業してうまくいっていても、都市計画が進むとともに来院者が途絶えてしまっては困ります。考えられることはできるだけ診療圏調査の補正項目に盛り込みましょう。

夜間人口、昼間人口の違いを知る

地域によっては夜間と昼間では全く人の数が違うことも考慮しましょう。

例えば、住民基本台帳の人口は夜間人口です。都市部では職場の近くで受診するという方も多く、仕事が終わって帰宅するまで人が少ないことも考えられます。高齢者がターゲットであれば問題ないかもしれませんが、そうでない場合は注意しましょう。

対処方法としては、定点観測を行うのが有効です。平日と休日、昼間と夜間などのように条件を変えて同じ場所を歩いてみましょう。データ上の数字では感じられなかったものを発見できるかもしれません。

地域住民の心理障壁を知る(学区、川、幹線道路など)

地元民でなければわからない感覚も重要です。例えば、街の成り立ちや学区などです。意識に差がある町村が合併したときなどは、元々の町や村の中で完結してその外へ行くことはあまりないかもしれません。

 

参考:勉強会セミナー

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まとめ

診療圏調査自体は市販ソフトもあるため誰でも簡単に行うことができます。しかし、信頼性のあるものとなるとそう簡単につくれるものではありません。より現実味のあるデータにするためにはそれだけ多くの調査や培ってきた経験が必要になります。一方で、盛り込む情報はキリがないのである程度の割り切りも必要になります。情報の取捨選択に困ったときは一度開業予定地に赴いて歩き回ってみましょう。それまで気づかなかった発見があり、開業時に役立つかもしれません。

また、コンサルタントに調査依頼する場合は提示された診療調査データがどれほど入念な調査の上に作成されたものであるかを見抜く必要があります。一つはロジックがしっかりしていて納得できるものかどうかです。もし、良い場所だと感じたのなら、必ず自分自身で現地に赴いて、自分の目で確認することが大事です。

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