2017.05.06

【整形外科版】開業後に必要な患者数は1日何人?

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「クリニック経営」と一口に言っても、診療科ごとに経営のポイントや特徴は大きく異なります。
今回は、整形外科クリニックにおける経営のポイントと、1日に必要な患者数の考え方をご紹介いたします。

整形外科の平均患者数は100~130人程度
1日の患者数が100人の整形外科で年収が3000万円となる根拠

整形外科クリニックの場合、リハビリ室の広さなどによって1日に来院する患者数に差があります。小規模な整形外科であれば、80人~100人程度ですが規模が大きく、リハビリに力を入れているクリニックであれば1日の患者数が200人を大きく上回るクリニックもあります。 整形外科の場合、この1日の患者数の違いが年収を大きく左右します。

例えば、

  • 1日の患者数が仮に90人の場合、年間の売上は約8000万円。そこから経費を引いた利益(年収)は2200万円ほどになります。
  • 1日の患者数が100人の場合、年間の売上はおおよそ9000万円程度となります。利益(年収)で約3000万円ほどです。
  • 1日の患者数が110人の場合、年間の売上はおおよそ9900万円程度となります。利益(年収)で約3900万円ほどです。


理学療法士を一人増やし(年収420万円)患者数が120人になった場合、年間の売り上げは1億800万円、利益(年収)で4,300万円となります。 理学療法士を2人増員し(二人で840万円)患者数が130人になると売上は1億1700万円、利益(年収)は4,800万円となります。

とこのように、リハビリの患者数を含め1日の患者数を増やすことで、年収は大きく変わります。

平均より多いからいい?子供の教育費、住宅の買替、引退後の資金…目標患者数は人生設計から逆算して考える

1日に必要な患者数は経費に加え、先生の私生活に必要な費用から逆算して考える必要があります。 そしてこれからの人生の支出を逆算し、いつまでに、どれくらいの貯金が必要になるか、そのための所得がいくら必要かを考え、いまから準備しておくことも大切になります。

どのような支出が考えられるか、事例で考えてみます。
まず私生活での支出は30代~40代にかけて、まず家のローンがでてきます。 40代に差し掛かるころから、ご子息の教育費が必要です。仮に私立の医学部に進学するとなれば仕送りも含め約4000~5,000万円必要です。 50代には家の買い替えやリフォーム費用、両親の介護費用などが大きな支出金額となります。

こうした大きな支出だけでなく、車の買替え費や趣味、旅行など、年齢問わず継続的に支出が発生するものもあります。 さらに引退後の老後資金についてもそれまでに貯蓄しておかなくてはなりません。 では、老後資金はいくら準備しておく必要があるのでしょうか。

今の生活レベルを落とさずに90歳まで生活するとしたら、 65歳時に2億5000万円の準備が必要

  • 月80万円(年収960万円-年金200万円):25年で1億9,000万円
  • 月100万円(年収1200万円-年金200万円):25年で2億5,000万円

その他、クリニックでの支出も想定する必要があります。 開業から15年後には医療機器の買い替え、クリニック内外の修繕などが頻繁に発生します。加えて分院する場合にはその費用が掛かってくるでしょう。引退時には承継のための費用のほか、クリニックのリニューアル費用も見ておく必要があります。

整形外科で患者数が1日100人から120人増えれば 年収は約1300万円増加する理由とは?

患者数が増えて、売上が増加しても経費は変わらない

患者数が増えれば、その分経費もかかるため患者数が少し増えたくらいでは年収は変わらないと考えられる方もいますが、実はそうではありません。下記は整形外科で患者数が増えた場合のシミュレーションです。

1日の患者数が平均20人増えた場合、増加する経費は原価(ガーゼやギプス、包帯など1回の診療ごとにかかる診療材料費)が挙げられます。整形外科(院外処方)の場合、原価率は売上の約5%です。では原価以外で増える経費はあるでしょうか?患者数が平均20人増えるためスタッフ数を増やす必要があるため、理学療法士を一人増員します(人件費を420万円増加)。その他、家賃やリース料、接待交際費などは1日患者数が20人増加しても変わりません。
そのため、1日の平均患者数が平均20人増えれば、売上は1800万円増加し、経費は原価で90万円、人件費420万円増加し、税引き前の利益(年収)は約1300万円増加します。

整形外科は患者数を増やすことが最も重要

整形外科は他の診療科の中でも圧倒的に患者一人当たりの平均診療単価が低い科目です。そのため、多くの患者数を診なければ必要な収入を確保することはできません。とはいえ、院長一人で一日120人以上の患者数を診ることは難しく、リハビリの充実が患者数増のカギです。また、整形外科クリニックの場合、院長の専門性を出すことが難しい診療科でもあります。そのため、理学療法士を入れ体制を充実させるなど、リハビリテーション部分での差別化が重要です。

どうすれば患者数を増やすことができるのか?具体例を基に検証。

質の高い診療だけでは、患者は集まらない

患者数が少し変わるだけで院長先生の年収は大きく変わるということを具体例をもとに検証してきました。では、その肝心の患者数はどのようにすれば増やしていくことができるのでしょうか?

よく「患者様に丁寧に診療していればそのうち患者数は増えてくる」という話を聞くことがあります。もちろん患者様に丁寧でわかりやすい診療というのは必要不可欠です。しかし質の高い診療をしていれば口コミは広がるわけではありません。 診療圏の見込み患者はすでに行きつけクリニックを持っているため、よほどのメリットを感じない限り新規クリニックには乗り換えないことがほとんどです。

院長がどれだけ患者様一人ひとりに丁寧な診療を心掛けていても、そのことを知ってもらうには、まず一度患者様にクリニックに来院してもらわなければいけません。その「1度来院してもらうきっかけ」作りが非常に重要になってきます。

患者数を増やすには整形外科クリニックの“存在”や”特徴“を知らせることから始める

患者様に来院してもらうきっかけづくりとは、まだ来院してもらったことのない地域の方に「クリニックの存在と特徴(院長の専門性や医院でできる検査や治療等)を知ってもらう」ことです。わかりやすのがホームページや看板、パンフレットなどの広告宣伝がそれにあたります。

しかし、患者数を増やすにあたって闇雲に広告宣伝をしていても結果にはつながりません。重要なのは

  • どのエリアから患者が多くきているのか把握する(患者が来ていない地域はどこか?)
  • 新患が来院するきっかけ(口コミ、看板、ホームページ等)で一番多いものは何か知る
  • 患者アンケートを実施し、患者さんが当院の何に満足しているのか把握する
    (医師の診察、医療スタッフの対応、アクセスの良さ、診療時間など)

など日々の経営データから検証し問題点を把握することです。

例えば、「交通事故(自賠責)の患者数を増やしたい」と考えた場合、現在の交通事故で来院している患者様の年齢や来院のきっかけ(看板、紹介、ホームページ等)を分析します。その結果交通事故で来院する患者層が20代~40代が多い一方で、ホームページからの来院が少ないとわかった場合、ホームぺージで「交通事故治療」についての情報を詳しく記載(交通事故での初診時の注意、治療内容、整骨院との違い等)します。 情報を充実させることで検索にも出てきやすくなるため、交通事故の集患が期待できます。

「午後診の患者数がなかなか増えない」とわかれば、何をきっかけにした新患の来院が午後診の場合多いのかを調べます。その結果、部活動をしている学生層からの来院が多いとわかれば、スポーツ整形の知識がある理学療法士を採用し、その旨をホームページに掲載します。 ホームページには、スポーツで怪我をした際の対処法や、トレーニングでの注意点などを動画などにアップすればさらにわかりやすくできます。

このように、これらを実施した結果、患者数はどのように変化したかを検証し、新たな問題がわかれば次の手を考える・・・というように仮説と検証を繰り返すことで確実に患者数は増えていきます。 このように、どうすれば患者数を増やすことができるか、原因を洗い出していき、改善の手を打っていけば患者数を確実に増やしていくことが可能です。

 

参考:勉強会セミナー

開業を成功させる一番のポイントは、事業主となる先生が経営者として成長することにあります。経営者としての考え方、視点、判断の方法を学ぶための勉強会です。

>クリニック開業基礎講座

>クリニック継承基礎講座

>スタッフ採用・育成基礎講座

>広告・集患基礎講座

>開業医の為の将来設計講座

まとめ

整形外科の場合、内科などと違い、平均の診療単価は低いため、1日に診る患者数は内科の倍ほどになります。しかしそれをすべて医師1人で診ることは困難であるため、リハビリを充実させ1日の来院患者数を増やすことが必要不可欠となります。

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