2016.12.28

「経費計上」、「医療法人化」大きく分けて2つしかない、開業医の節税方法

節税

クリニックの経営が軌道に乗り納税額が増えてくると「節税」という言葉に惹かれませんか?
開業医の方である程度の年収がある場合は、医療法人化を検討される方もおられるかもしれません。
クリニック経営における節税の方法は、大きく分けて2つしかありません。1つは「経費を計上する」こと。そして、もう1つが「医療法人化して税率を下げる」ことです。
今回は節税をテーマに、クリニックにとって将来的に利益になることは何かを考えていきましょう。

経費を増やして節税になる。その仕組みとは?

まず、事業を経営する際の基本公式を見てみましょう。
経営の基本公式は「売り上げ-経費=利益」
そして「利益-税金=手取り」となります。
経費を計上する節税とは、クリニックで必要とする経費を増やすことで所得を減らすという方法です。クリニックの得る利益が減ることで、かかる税金の額が少なくなります。

例えば、計上する経費として代表的な「交際費」を100万円余分に使うということです。 わかりやすくするために税率を50%として考えると、多く使った交際費100万円のうち50%が税金となり、結果として50万円の節税となります。

一見効果大?医療法人は税率が低い

次に、医療法人化すると節税になる理由を述べます。 個人の税率は、所得の増加に伴い高くなります。所得税の税率は所得が4000万円を超えた場合は45%になり、これに住民税10%を含めると、55%になります。

つまり、利益の半分以上が税金として引かれてしまうのです。 ところが、医療法人化すると、税率はほぼ固定になります。800万円以下の所得の場合には、住民税を合わせても約18%、所得が800万円以上になった場合には約22%の税率になります。 一見して、節税としてかなりの効果があるように見えませんか?

結局手取りが減る、経費計上での節税

少し話が戻ります。先に、交際費を100万円余分に使用すると50万円の節税効果がある、という例を述べました。

確かに、額面上は節税効果があるように見えますが、50万円納税額が減ったとしても出費が50万円増えてしまいます。結果的には手取りも減ることになります。 経費を計上して節税をするのは、バーゲンで欲しくないものを安く買うのと似ています。つまり仮に税率が所得税と住民税で50%のクリニックであれば、50%引きのバーゲンで購入しているのと同じだといえます。例え安い品でも、必要ではないものを購入するのは無駄遣いと一緒です。

ただし、経費として計上することで節税の効果が出る場合もあります。それは、クリニック以外で使用する物品でも、事業に関連があると認められる場合です。

例を挙げると、自宅で仕事をするために購入したパソコンや机、イスといった備品や、自宅とクリニックが同一の建物内にある場合、クリニックとして使用している部分の家賃や光熱費が経費として認められるのです。また、本や雑誌なども経費として計上することができる可能性があります。さらに、物品の他に知り合いの先生の開業祝いの品なども経費にできます。

クリニックに関連するもので、経費として計上できるものがないかどうか、領収書をチェックするようにしましょう。 ただ、前年から急に交際費が増えた場合などは、税務署のチェックが厳しくなるので注意が必要です。

医療法人化シミュレーション・個人事業クリニックの場合

それでは、実際にどれくらい手取りが変わってくるのか、年間の所得が2645万円の開業医のクリニックを例に挙げて見てみましょう。


法人化する前は、妻に専従者給与として500万円を支払う場合、院長とその妻の手取りの合計額は1934万円です。 このクリニックが医療法人化すると、医療法人に800万円の利益を残すことで、272万円の節税となります。院長と妻の手取りは合計1550万円になります。医療法人化することで、個人事業主の頃よりも年間384万円手取りが減ることになります。 さらに、20年間経営を続けると、手取りには7680万円の差がつくことになります。 同時に、医療法人には1憶3120万円が蓄積されます。このお金は、院長の退職時に退職金として受け取ることもできます。しかし、退職まで年間384万円ずつ手取りが減っても問題がないか、熟慮する必要があります。

要チェック!医療法人化のメリットとデメリット

開業医が医療法人化をした場合のメリットとしては、税率が低くなることや、社会保険診療報酬が源泉徴収されないこと、退職金の支給が可能になることなどが挙げられます。(ただし、退職金にも税金がかかります。) さらに、生命保険料が半額経費として計上できることや、分院の開設が可能になること、後継者がいる場合には、医療法人の財産を活用することができる点などがあります。

デメリットとしては、手取りが減るためプライベートで使える金額が減ってしまうことや、法人の解散時に残された財産は国のものになってしまうこと、厚生年金の強制加入などがあります。また、小規模共済や国民年金基金を解約する必要があります。 会計事務所の費用が増加すること、知事への決算報告や社会総会の開催など、必要な手続きが増えることも挙げられます。 医療法人化すると、原則として個人事業に戻ることができないことも考慮すべき点です。

多くのメリットデメリットを挙げましたが、ポイントは手取りが減った場合「経営者が思い描く人生設計を実現できるか」「分院展開や介護事業など、事業の拡大を望んでいるか」「後継者がいるのか」という3点です。

税金をたくさん払うのは避けたい気がしますが、長いスパンで考えてみましょう。医療法人化することが本当に利益になるか、見極めることが大切です。

開業医におすすめ、小規模共済

小規模共済は、個人事業主が退職金を用意するための制度です。開業医にとってもメリットが大きいため、是非加入することをおすすめします。

そのメリットとは、掛け金の支払い時に全額所得控除になること、共済金の受け取りの際は税金の安い退職所得扱いになることです。 小規模共済の掛け金は月々7万円で、合計すると年間84万円になります。

仮に所得税と住民税を合わせた税率が50%の場合、84万円×50%=42万円の節税効果があります。 25年間掛け続けると、42万円×25年=1050万円の節税ができるということになります。 また、共済金を受け取る時、25年間で金額は2147万2500円になりますが、ここから引かれる税金は所得税・住民税合わせておよそ107万円と少額で済むのです。 節税効果も含め、是非検討してみてください。

 

参考:勉強会セミナー

開業を成功させる一番のポイントは、事業主となる先生が経営者として成長することにあります。経営者としての考え方、視点、判断の方法を学ぶための勉強会です。

>クリニック開業基礎講座

>クリニック継承基礎講座

>スタッフ採用・育成基礎講座

>広告・集患基礎講座

>開業医の為の将来設計講座

まとめ

所得が伸びると納税額が増え、つい節税に目が行きがちです。しかし、経費の計上や医療法人化は、デメリットも大きいことがおわかりいただけたかと思います。節税の手段としてこれらを利用するのはおすすめできません。
開業医がこだわるべきは、より多くの新患を獲得し、クリニックに定着させることです。
ある程度の節税が見込め、将来まとまったお金を手にできる小規模共済を利用するのもおすすめです。
目先のことだけではなく将来を見通して、クリニックを経営していきましょう。

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