医院開業・経営の秘訣ブログ

2016年08月24日(水)

「失敗しない開業前研修」に最低限必要なこと

クリニックスタッフの業務範囲は、従業員の役割が組織的に細分化されている病院とは異なり、広いのが通常です。しかも少ない人数で運営しなければならないため、組織の雰囲気とスタッフのチームワークは、事業の成否に大きく影響します。そのため、組織としての活動の第一歩となる開業前のスタッフ研修は、非常に重要です。

ここでは、開業前研修を行う際に最低限おさえておきたい重要な事項をご紹介します。

1.研修スケジュールは余裕をもって設定を

研修の内容は、院長からの挨拶に始まるオリエンテーション、接遇研修、電子カルテレセプトコンピューターなどの機器操作のトレーニング、関係者が患者に扮する模擬診療、会計処理の練習、院内備品の確認、院内ルールの検討…などなど、盛りだくさんです。 これらを円滑に行うためには、最低でも開業日から半月前程度の日程を確保したほうがよいでしょう。

具体的なスケジュールの決定は、医療機器メーカーのインストラクターや、接遇研修の講師などの予定を擦り合わせて行う必要があります。また、スタッフは基本的に全員参加ですが、都合上、研修に参加できる人が限られる場合は、さらに時間に余裕を持たせたスケジューリングが必要です

また、院長としては、前もって参加できるスタッフを把握したり、それぞれの研修で使用するレジュメ、達成目標などを用意しておくのが望ましいでしょう。

2.院長の思いを伝えて一体感を醸成

スタッフ研修の冒頭には必ずオリエンテーションを行うようにしましょう。ここでは、院長やスタッフの自己紹介や今後のスケジュールの説明に加えて、「なぜ開業しようと思ったのか」「患者や地域に貢献するために、どういうクリニックを作りたいのか」「そのためにあなたたちに何をしてほしいのか」などといった院長の経営理念をスタッフに周知徹底することが最も大切です。

院長の理念の共有は、今後、同じ思いを持って行動する「組織」をつくりあげていく上で欠かせない作業ですが、その部分は完全に抜け落ちてしまっていることはよくあります。

先生がどこに向かって、どこまで行きたいと考えているのかスタッフに伝わらなければ、その後の研修もすべて目的のない“作業”となってしまい、それぞれの価値観や前職の経験などをベースとした仕事をしてしまいます。その結果、組織として向かう方向がまとまらず、開業後しばらくすると、先生が考えていることとは全く違う考え方、姿勢のスタッフが出てきてしまいます。

3.患者のサインに気づけるスタッフに

スタッフ研修のメインテーマを「患者対応スキルの向上」に置くクリニックは多いのですが、身だしなみ、笑顔、マナー、 言葉遣いといった一般的なサービス業でも行われる項目に終始しがち。

患者本位のサービスを提供するうえでスタッフに最も求められるのは、「気配り」です。

患者は心身に何らかの問題を抱えている人であり、不安や緊張感を持って来院されます。そうした患者の声や表情から何に気づき、どう対応するのかが大切であり、これが医療機関に求められる接遇の特徴なのです。

例えば、患者が辛そうにしていたら、患者のもとに歩み寄り、冷たい水やひざ掛けなどを欲していないか、場合によってはベッドに横になってもらうなどを確認します。

さらに緊急な診察を要すると考えられる場合は、 医師や看護師の指示を仰ぎ、診察の順番を入れ替えるなど臨機応変な対応が必要です。開業前の研修ではこうした基本的な患者対応の知識や心得を伝え、 模擬診療を繰り返しながらスキルを高めていくとよいでしょう。

4.スタッフを巻き込んで自院の文化を創っていく

研修期間は、模擬診療や電子カルテ研修だけでなく、業務をスムーズに進めるために、全スタッフが相談し合いながらスタッフ間の業務分担や院内ルールなどを決めていく時期でもあります。 文具などの備品のリストアップや発注、内覧会の準備など、スタッフ共同で行う作業は意外と多いもの。開業日までの緊張感を院長とスタッフで共有することは、職場の一体感の醸成やコミュニケーションを促すよいきっかけになります。

このとき、なんでも院長が自分で決めてしまうのではなく、スタッフを巻き込み一緒にどうすれば理想のクリニックを実現できるのかを考えさせることが重要です。

ここで院長がなんでも決めて指示を出すようになると、スタッフは「院長が全部決めるんだ」と考え、言われたことしかやらなくなってしまいます。逆に院長がスタッフの意見を引き出し、一緒に一から作る姿勢を見せれば「自分の意見も聞いてくれる」と感じ、スタッフからの提案も出て気安くなってくるでしょう。

経営者として職場の一体感を醸成するために、スタッフ研修には可能な限りかかわっていく姿勢が重要です。

5.接遇は定期的に質の確認を

せっかく万全な開業前研修を行っても、開業後は院長が患者の診察に追われるようになり、診察室の外の様子をうかがい知ることが難しくなってしまいます。また、スタッフも、頭では理解していても、実際現場ではそれどころではなく実践できていないことがほとんど。逐一注意してくれるリーダー格のスタッフがいればいいのですが、開業当初は多くの場合、そういった存在がいません。誰からも注意されなければ「別にやらなくても大丈夫なんだ」という考え方がすぐに蔓延し、“悪い組織文化”として定着してしまいます。

そうならないためにも、接遇の質を定期的に確認できる「仕組み」、院内ルールを設けることが有効でしょう。

たとえば、「毎朝朝礼を行い、院長から患者対応の重要性を伝える」「問題が何か起これば朝礼で逐一報告させる」といった定期的なチェックの機会を設けることです。

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