医院開業・経営の秘訣ブログ

2016年08月24日(水)

事業計画の鍵は、運転資金の設定にあり

開業にあたって最も気になるのは「お金」の問題。
開業するには、賃貸物件の保証金や手数料、内装、広告宣伝費などの初期費用のほか、最新医療機材の購入など、開業後の運転資金も確保しなければなりません。物件や施設規模などによって異なりますが、内科のクリニックをテナント開業する場合、一般的には5000万以上の資金が必要になります。

資金調達を考える上で重要な役割を果たすのが「事業計画」です。なかでもポイントとなるのは、開業後の運転資金額の設定。健全な事業計画作成のためにも「運転資金」についての基本的な考え方を把握しておきましょう。

そもそも事業計画とは?

事業計画とは、クリニック経営の将来予測を資金面から見たもののことです。開業準備全体の予算組みをし、開業後の収支予測とそれに基づく運転資金額、借り入れ金の返済計画書なども含みます。事業計画書は、開業資金の調達先(金融機関など)へ提出され、資金調達判断材料となる最も重要なものです。

鍵となる「運転資金」とは?

開業準備全体の予算組みは、言ってしまえば、テナント入居関連費や内装工事費、器械・備品関係費、広告宣伝費などの予算をそれぞれ見積もればよいとも言えますが(実際はそれ自体にも慎重な計算が必要です)、難しいのが開業後の「運転資金」額の設定でしょう。

運転資金とは、簡単に言えば、開業後の赤字の間をカバーする資金です。一般的に、開業直後から単月黒字を達成することは非常に難しく、多くのケースで数カ月間の赤字を覚悟しなくてはいけません。加えて、診療報酬は請求の2カ月後に払い込まれるため、その期間を乗り切るために必要なのが運転資金なのです。

よく「確保すべき運転資金は診療報酬額の概ね2〜3ヶ月分」と言われているようですが、これには明確な根拠があるわけではありません。開業直後から事業計画を上回る業績を達成する診療所もあれば、スタートダッシュが不調に終わり、開業後の患者数が1日数人で、1年以上経ってようやく単月黒字を達成する例もあるからです。

そのため、運転資金とは「損益分岐点に達し、キャッシュフローが安定するまでの期間をカバーする費用」と考え、入念なシミュレーションに基づく損益計算から算出するのが適切です。

診療報酬額だけを基準に機械的に決めるのはあまりに安易で、根拠が曖昧なままに開業した結果、数カ月後に資金繰りが厳しくなり、金融機関からの追加融資も受けられずに閉院の瀬戸際に追い込まれる危険性もあります。金融機関は一般的に、事業計画の甘さによる運転資金の追加融資は非常に嫌がることも覚えておきましょう。

シミュレーションに必要なもの、ライフプランの反映も忘れずに

運転資金額の決定に必要な損益計算は、診療圏調査などの結果から導き出された1日当たりの外来患者数などを基に、平均診療単価に基づく収入、人件費・地代家賃・リース料・支払利息・減価償却費などの費用、借入金返済金(元金返済部分は利益から税金を差し引いた手取り額から引かれるので、手元資金の残高に大きく影響します)などを加味し、慎重に行います。

また、運転資金の額は、院長とその家族の生活費によっても大きく変わります。
本来、経営者の収入は、事業利益から支出されるべきものだが、経営の黒字化まで「無収入」というのは非現実的です。住宅ローンや子どもの教育費などを勘案し、「生活費」として捻出できる予備資金も組み込んでおきましょう。家族の意見も聞きながら「ライフプランも事業計画に反映させる」という考えが重要です。

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